研究課題/領域番号 |
23K10820
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宇留野 晃 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (90396474)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / Nrf2 / ミクログリア / 神経炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに、アルツハイマー病の脳でアミロイドβと呼ばれるタンパク質が蓄積し、発生した炎症が認知機能低下に重要な役割を果たすことが報告されてきた。転写因子Nrf2は、炎症を引き起こす遺伝子発現を低下させ、アルツハイマー病の脳で神経炎症を抑制するが、その機序は不明であった。本研究ではNrf2がアルツハイマー病の脳の炎症を抑制するメカニズムの解明を通じて、その治療における役割の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病の脳でアミロイドβと呼ばれるタンパク質が蓄積し、発生した炎症が認知機能低下に重要な役割を果たすことが報告されてきた。転写因子Nrf2は、炎症を引き起こす遺伝子発現を低下させ、アルツハイマー病の脳で神経炎症を抑制するが、その機序は不明であった。本研究ではNrf2がアルツハイマー病の脳の炎症を抑制するメカニズムの解明を通じて、その治療における役割の確立を目指す。社会の高齢化に伴い認知症の患者数が増加し、大きな問題になっている。これまでに認知症の進行に神経炎症が関与することが報告されてきた 。ストレス応答性転写因子Nrf2は、抗酸化遺伝子の発現誘導に加え、炎症性サイトカイン遺伝子の発現抑制により抗炎症作用を発揮することが 知られている。これまでに申請者は、Nrf2はアルツハイマー病(AD)の脳で、アミロイドβ(Aβ)蓄積による神経炎症を抑制し、認知機能を 改善することを報告してきた。近年、脳のミクログリアがAβの刺激で活性化され、疾患関連性ミクログリア(DAM)に分化することが報告され注目されているが、Nrf2によるADの神経炎症抑制は、Nrf2活性化はDAMマーカーを低下させた。DAMはNrf2によるADの病態抑制の中心であると考 えられたが、その機序は不明であったことから、Nrf2による神経炎症抑制作用の機序を解明するために本研究を着想した。ヒト培養ミクログリアHMC3細胞を用いたメカニズムの解析と、Aβ蓄積によるADモデルマウスの脳を用いた解析を組み合わせて実施する。Aβや サイトカインによるHMC3細胞のDAM分化誘導系を確立し、さらにADモデルマウスの脳におけるDAMの解析を行い、Nrf2によるDAM活性化抑制のメカニズム解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養ヒトミクログリアに対して、アミロイドβオリゴマー刺激を行い、トランスクリプトーム解析を実施し、ミクログリア活性化マーカー遺伝子発現を解析した。その結果、活性化ミクログリアマーカーおよびミクログリアのサブセットである疾患関連ミクログリアマーカー遺伝子発現が誘導されていた。さらにNrf2活性化剤であるCDDO-Imで処理すると、これらの発現誘導が抑制されていた。このため、アミロイドβオリゴマーは培養ヒトミクログリアの活性化を引き起こし、Nrf2活性化はこの活性化を抑制できることが明らかになった。さらに、アミロイドβオリゴマー刺激によるサイトカイン類の遺伝子発現誘導パターンを確認した。これらの発現誘導を認めたサイトカイン類で培養ヒトミクログリアを刺激したところ、このうちの一つのサイトカインが疾患関連性ミクログリア(DAM)マーカー遺伝子発現誘導をきたした。このため、DAMへの分化誘導に関するサイトカイン候補を特定することができた。さらにこのサイトカイン処理による疾患関連ミクログリアへの分化誘導もCDDO-Im処理により抑制されていた。
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今後の研究の推進方策 |
疾患関連性ミクログリア(DAM)マーカーへのアミロイドβオリゴマー刺激におけるメカニズムについて、現在候補となっているサイトカインについて解析を行い、その役割について同定を進める。また、そのサイトカインによるミクログリアによる遺伝子発現制御を解析し、さらにNrf2活性化剤CDDO-Imの効果を検証することで、Nrf2の役割の解明を目指す。
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