研究課題/領域番号 |
23K10829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
新井 英一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60325256)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ビタミンD / 高脂肪食 / 高リン食 / 低マグネシウム食 / 過栄養 / 低栄養 |
研究開始時の研究の概要 |
血清ビタミンD(S-25OHD)濃度の欠乏者が年々増加し、十分量のビタミンDを摂取しても、S-25OHD 濃度の改善が見られない。その要因の1つに、ビタミンD摂取量の不足に併せて、他の栄養素の過不足による相互作用が、ビタミンDの合成能を低下または分解能を亢進する可能性が考えられる。そこで本研究は「生体内における栄養素の過不足がビタミンD 代謝に与える影響およびその分子基盤の解明」を目的とし、最終的に「ビタミンD 栄養状態を高めるための栄養療法の構築」を目指す。
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研究実績の概要 |
【目的】近年、高脂肪および高リンの摂取量が増え、一方ビタミンDの摂取量が不足し、問題視されている。また、ビタミンD栄養状態の指標である25(OH)D濃度の低値も指摘されている。しかしながらこれらの関係性については不明である。本研究は、食餌中の脂肪エネルギー比率およびリン含有量の違いがビタミンD栄養状態に及ぼす影響について検討することを目的とした。 【方法】8週齢の雄性SDラットを、通常食群 (Con群) 、高脂肪食群 (40%E: HF群) 、高脂肪高リン食群 (40%E, 1.2%: HFHP群) の3群に分け、3週間飼育し、出納試験、血中および尿中ビタミンD代謝動態と、肝臓および腎臓におけるビタミンD代謝関連遺伝子の発現について評価した。 【結果】血漿P濃度は各群間で差異は見られなかったが、HFHP群における尿中P排泄量は、Con群およびHF群に比して有意に高値を示した。HFHP群における血漿25(OH)D3、D2 濃度、血漿24,25(OH)2D3 濃度は、Con群およびHF群に比して有意に低値を示した。一方、HFHP群における尿中25(OH)D3 排泄量は、Con群に比して有意に高値を示した。肝臓における25位水酸化酵素であるCYP2R1およびCYP27A1のmRNA発現量および腎臓における24位水酸化酵素であるCYP24A1のmRNA発現量は、各群間で差異は見られなかった。一方、腎臓における1α位水酸化酵素であるCYP27B1のmRNA発現量はHFHP群において、HF群に比して高値傾向を示した。 【考察】高脂肪および高リンの組み合わせが複合的に作用し、腎臓での25(OH)D3の排泄が高まり、血中25(OH)D濃度の低下を引き起こしている可能性が考えられた。現在、その詳細機構について解明を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定する食事の群分けが多いため、1年目はターゲットを絞り実施した。現在、マグネシウム低下群における評価を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪、高リン食の摂取に伴い、腎機能の低下およびビタミンDの低下を導く原因物質および機構を解明するために、候補となる因子を見出しており、その遺伝子およびたんぱく質発現について、検討を進めている。さらに、食事群(低マグネシウム群)を増やし、より詳細な機構の解明を目指す。
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