研究課題/領域番号 |
23K10831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
伊東 秀之 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70253002)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | タンニン / プロアントシアニジン / アントシアニジン / パイエル板 / in situ / ポリフェノール / ウロリチン / 代謝物 / 抗糖化作用 |
研究開始時の研究の概要 |
機能性食品の開発で検討が必須である機能性関与成分の特定において,植物に存在している成分が真の関与成分か,或いは今までほとんど検討されていない生体内代謝産物の関与も含めて網羅的に関与成分を探索する必要がある。 本研究では,食事由来機能性タンニンの生体内における機能性関与を実証するためには,タンニンが植物体内で存在している分子形のまま生体内に吸収され機能性を発揮しているか,或いは生体内で代謝産物として機能性を発揮しているか,真の活性本体を探究し,機能性関与成分の在り方を考究する。
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研究実績の概要 |
タンニンは食品や薬用植物に広く分布し,多彩な機能性を有することから,タンニン自身が吸収され,それらの機能性を発揮していることも考えられるが,タンニンの吸収については未だ不明な点が多く残されている。今年度はin situ 吸収実験系によるタンニン吸収の手法検討するために,高分子縮合型タンニンのin situでのラット小腸における吸収性評価を行った。 ラットを用いたin situ吸収実験として,パイエル板が存在する小腸部位とパイエル板非存在部位について,各ループを作成し,ループ内に薬用植物由来の高分子縮合型タンニン(プロアントシアニジン:PA)1 mg/mLを投与した。2 h後,投与した小腸ループを回収した。回収したサンプルについて,通常PAの分析で汎用されているゲル浸潤クロマトグラフィー(GPC)による分析を行った結果,ピークとして検出できなかった。そこでPAの定性反応である塩酸-ブタノール反応による検出を試みた。PAにn-BuOH:HCl混液を加え,加熱後HPLC分析を行った結果,PA由来のDelphinidinおよびCyanidinのアントシアニジンを検出することができ,生体試料中に含まれるPAを比較的高感度に検出するには,塩酸-ブタノール反応が有効であることが示唆された。そこで,回収した小腸ループについて塩酸-ブタノール反応後HPLC分析を行った結果,小腸ループからPA由来のアントシアニジンであるDelphinidinが検出され,特にパイエル板部分にDelphinidinが集積していた。これらの結果より,塩酸-ブタノール反応により生じるアントシアニジンを指標にした高感度検出法によりPAが小腸ループ内でパイエル板に特異的に集積していることを見出した。 以上の結果,次年度の研究につながる機能性タンニンの吸収機構解明に向けた基礎データが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,機能性タンニンが植物体内で存在している分子形のまま生体内に吸収或いは生体内で代謝産物として機能性を発揮しているか,真の活性本体を明らかにするための基礎的知見を得る目的で,初年度はin situ 吸収実験系による機能性エラジタンニン吸収の手法検討をテーマとして研究を進めた。その結果,分析化学的アプローチにより,プロアントシアニジンの吸収機構の解明の手掛かりとなる科学的基礎データを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回確立したin situ 吸収実験系による機能性タンニンの吸収の検討をさらに進めるために,PAでは分子量の違いによる評価,さらには加水分解性タンニンなど他のタンニンについても評価を進める。一方,未解明であるタンニンの生体内代謝産物の探索も進め,タンニンの活性本体の探究を進める予定である。
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