研究課題/領域番号 |
23K10835
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
大島 大輔 東邦大学, 医学部, 助教 (70769653)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | インスリン分泌 / カルシウムシグナル / 脂肪酸代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
2型糖尿病は肥満が重要な要因の1つとされており、過剰な血中脂肪酸が直接的・間接的に膵β細胞機能障害を引き起こすとされてきた。その詳細な分子機構は未だ不明なままである。本研究では、インスリン分泌に必須なカルシウムシグナルの制御機構との関係に着目して、カルシウムチャネルの内在化と分解制御の分子機構を網羅的なタンパク質結合解析と機械学習を組み合わせたイメージング解析を駆使して解明することを目指す。その成果は、栄養素による膵β細胞機能不全を克服した新たな2型糖尿病治療法開発の基盤として期待される。
|
研究実績の概要 |
飽食の時代を反映した肥満を背景として、末梢組織のインスリン抵抗性獲得と共に膵β細胞のインスリン分泌不全を伴う2型糖尿病が発症する。本研究は、2型糖尿病の病態形成における脂肪毒性に着目し、分子生物学的手法や機械学習を用いたイメージングデータ解析を融合して、膵β細胞のインスリン分泌不全の分子機構の解明を目指している。 初年度は、電位依存性L型カルシウムチャネル(CaV1.2)の分解を担うユビキチンE3リガーゼの同定と機能解析を行うためのin vitroの実験系の確立を中心に研究を進めた。結合タンパク質の網羅的なスクリーニングにより、CaV1.2と結合するユビキチンE3リガーゼ候補タンパク質を複数同定した。そのうち膵β細胞で発現する分子を選抜して、過剰発現系でCaV1.2の分解を検討した。また膵β細胞株MIN6を用いたライブイメージング系を確立し、インスリン分泌顆粒のセグメンテーション手法を構築することで、インスリン分泌顆粒動態解析の基盤を整えた。これらの結果から、研究の目的である脂肪毒性に伴うCaV1.2の分解制御機構の一端を解明するための準備と、インスリン分泌動態の定量的解析系を確立ができた。今後は、同定したユビキチンE3リガーゼの機能解析を進め、脂肪毒性に伴うCaV1.2の分解制御機構の全容解明を目指す。インスリン分泌不全の分子基盤の理解を深めることで、2型糖尿病の病態解明と新規治療法の開発につなげていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の初年度計画に従って、電位依存性L型カルシウムチャネル(CaV1.2)の分解を制御するユビキチンE3リガーゼ候補の同定とインスリン分泌動態解析の系構築をおおむね順調に進めることができた。網羅的なタンパク質結合解析により同定したCaV1.2結合タンパク質の中から、ユビキチンE3リガーゼ活性を有する候補分子リストを得た。その中から選抜した候補について、タンパク質の発現ベクターの構築を構築して、過剰発現系による発現の確認を行った。CaV1.2の共発現系において、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、免疫染色など複数の実験系による検証方法の検討を行った。また膵β細胞株MIN6細胞のライブイメージング系を確立し、セグメンテーション手法を最適化することで、インスリン分泌動態の定量的解析の基盤を整えることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
同定したユビキチンE3リガーゼ候補分子の機能解析を進め、脂肪毒性に伴うCaV1.2の分解制御機構の全容解明を目指す。in vitroの実験系で遺伝子発現解析や翻訳後修飾、ゲノム編集技術を用いた候補分子の遺伝子欠損細胞を作製を通して、CaV1.2の分解亢進・抑制効果を検証する。in vivoの解析に向けて、候補分子の遺伝子欠損マウスを入手または作製し、膵島でのCaV1.2発現量やインスリン分泌能を評価する。 またインスリン分泌顆粒の動態解析を進め、脂肪毒性による分泌不全の表現型を定量的に捉える技術を開発して、制御因子と時空間動態の変化を解明する。多角的アプローチにより、2型糖尿病の発症機序の理解を深め、新たな治療標的の提案につなげる。
|