研究課題/領域番号 |
23K10846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
内田 貴之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (00803561)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 鉄代謝 / MAM / 筋細胞 / Mitochondria / Muscle atrophy / iron |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋の機能と量を保つことは健康寿命延伸の観点から非常に重要である。筋機能の維持には、ミトコンドリア関連小胞体膜(Mitochondria-associated ER membrane:MAM)構造と、細胞内鉄代謝が重要な働きを担っている。 特に鉄代謝異常は、ミトコンドリアにおけるエネルギー代謝活性低下を誘導することで筋萎縮の増悪に繋がる重要な因子であるが、どのように鉄代謝異常が誘導されるかは未だ不明であった。そこで本研究では、MAM構造の崩壊が鉄代謝異常を誘導することで筋萎縮が引き起こされると仮説を立て、そのメカニズムを解明し、MAMと鉄代謝に焦点をあてた新しい筋萎縮予防法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
我が国では超高齢化社会の到来に伴い、ロコモティブシンドロームの進展がますます大きな問題となっている。研究代表者はこれまでに、ミトコンドリアの機能(エネルギー代謝)異常や鉄代謝異常、および酸化ストレスが筋萎縮を誘導することを明らかにしてきた。これらの因子は相互作用して筋萎縮を誘導すると考えられてきたが、どのように協調して筋萎縮が誘導されるかは不明な点が多かった。そこで研究代表者は本研究課題において、萎縮筋における酸化ストレス・鉄・エネルギー代謝異常の相互作用メカニズムの解明を目指した。 研究代表者は、これらの相互作用メカニズムを中心的に制御する因子として、ミトコンドリア-小胞体関連膜 (MAM)に着目した。MAMは細胞内においてミトコンドリアと小胞体のカルシウム交換輸送や脂質代謝等、広範な生理的機能調節に関与していることが報告されている。さらに近年ではMAMはこれらの調節機能を介して、細胞内のエネルギー代謝制御にも中心的役割を果たすことが明らかになってきた。そこで研究代表者は、本年細胞内鉄量・代謝とMAMの関係性の検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、研究代表者は、筋細胞へ鉄剤または鉄キレート剤を投与した際の細胞内MAM動態についての解析を行った。細胞内MAM動態は、近接ライゲーションアッセイ (PLA)法を用いて評価を行った。PLA法では、抗体によって標識されたたんぱく質が40 nm以内に存在する場合、特異的な蛍光シグナルとして検出できる。本研究では、PLA法を用いてミトコンドリア外膜のたんぱく質VDACと小胞体外膜のたんぱく質IP3Rを標識し、得られる蛍光シグナルをMAM数として計測した。その結果、筋細胞へ鉄キレート剤を投与した際に、MAM数の増加傾向が確認できた。細胞内鉄欠乏はエネルギー代謝の低下を誘導し、MAMの増加はエネルギー代謝の増加と関係しているとの報告がある。そのため、細胞内鉄量の低下がエネルギー代謝低下を誘導し、代償的にMAM数が増加している可能性が考えられる。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、試薬処理によってMAMを増加あるいは減少させた際の細胞内鉄代謝についての検証を行い、MAMを介した鉄制御メカニズムの解明を目指す。さらに、このようなMAMを介した鉄制御がエネルギー代謝に与える影響についても検証を進める予定である。
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