研究課題/領域番号 |
23K10864
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
藤田 泰典 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30515888)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 細胞老化 / 代謝 / ミトコンドリア / 老化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、老化過程に潜在する新たなミトコンドリア代謝変容を見出すことで、細胞の老化メカニズムの解明を目指す。網羅的な代謝物質解析により、細胞の老化過程に生じるミトコンドリア代謝変容を同定する。次に、網羅的なタンパク質発現解析により代謝変容の原因タンパク質を同定し、その発現・活性制御が細胞の老化に及ぼす影響を検証する。老化過程のマウス臓器を対象に、ミトコンドリア代謝変容の解析を行う。代謝変容を標的とした薬剤をマウスに投与し、細胞の老化に及ぼす影響を評価する。以上により、ミトコンドリア代謝変容が細胞の老化メカニズムに関与することを細胞・動物レベルで検証する。
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研究実績の概要 |
老化は加齢に伴う生理機能の低下であり、加齢性疾患の最大のリスクファクターである。老化の分子機序を解明することは、加齢性疾患の予防・治療法の開発に繋がり、健康寿命の延伸に寄与する。老化のより根元的な機序に迫るには、細胞が老化する分子機序を究明することが重要である。細胞老化は細胞が不可逆的に細胞分裂を停止する現象である。複製老化は細胞老化の一種であり、細胞が分裂限界まで分裂を繰り返すことで引き起こされる。複製老化は培養細胞で観察される現象であるが、複製老化の特徴を示す細胞が老齢個体で検出される。細胞が細胞分裂停止に至るまでの分子機序とミトコンドリア機能障害との関係については、未だ統一した理解は得られていない。そこで本研究では、老化機構の根本的な理解を目指し、複製老化過程に潜在するミトコンドリア代謝変容を見出し、細胞が老化する分子機序を明らかにすることを目的とした。 ヒト胎児線維芽細胞TIG-1のメタボローム解析を行い、複製老化過程で量的変化を示す代謝物質を同定した。また安定同位体標識グルコースを用いた代謝フラックス解析を行い、複製老化過程で代謝流量が変化する代謝経路を明らかにした。さらに、TIG-1細胞およびTIG-1細胞から単離したミトコンドリアのプロテオーム解析を行い、複製老化の進行に伴い増減するタンパク質を複数同定した。その発現誘導に関与する転写因子を同定した。次年度は、これら代謝経路と転写因子に焦点を当てて解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、(1) 複製老化過程に潜在するミトコンドリア代謝変容の同定、(2) ミトコンドリア代謝変容の分子機序の解析、(3) ミトコンドリア代謝変容と複製老化メカニズムの関連性の検証、(4) 老化過程のマウス臓器におけるミトコンドリア代謝変容の検出、(5) 生体内で起こる細胞老化とミトコンドリア代謝変容の関連性の検証の5つの項目を設定し、研究を進めている。 当該年度は、(1)と(2)の研究項目に取り組んだ。(1)では、ヒト胎児線維芽細胞TIG-1のメタボローム解析を行い、複製老化過程で量的変化を示す代謝物質を同定した。また安定同位体標識グルコースを用いた代謝フラックス解析を行い、複製老化過程で代謝流量が変化する代謝経路を明らかにした。(2)TIG-1細胞およびTIG-1細胞から単離したミトコンドリアのプロテオーム解析を行い、複製老化の進行に伴い増減するタンパク質を複数同定した。その発現誘導に関与する転写因子を同定した。このように概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)と(2)で同定した代謝物質・経路とミトコンドリアタンパク質・転写因子との関連性を解析し、分子機序の詳細を明らかにする。また、代謝変化に関連する分子の過剰発現、遺伝子ノックダウン、薬剤による発現・活性制御を行い、複製老化への影響を解析する。また、他の細胞老化モデルでの検証も行う。その後、ヒト胎児線維芽細胞で同定したミトコンドリア代謝変容が、老化過程にある個体にも潜在しているかを老齢マウスで検証する。最終的には、ミトコンドリア代謝変容に関わる経路の阻害剤または活性化剤を入手し、老化に対する効果を確認した後、中齢期のマウスに同薬剤を投与し、臓器における代謝変容と細胞老化を評価する。
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