• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

細胞外マトリックスに着目したNASH病態進展機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K10865
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59040:栄養学および健康科学関連
研究機関東京工業大学

研究代表者

舟橋 伸昭  東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (30727491)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード細胞外マトリックス / Laminin-γ2 / NASH / 肝がん / 発がん
研究開始時の研究の概要

肝がんは、本邦の悪性腫瘍の死因の第5位を占めており、その新規の診断法や治療法の開発は喫緊の課題である。これまでに我々は、血清Lm-γ2単鎖(Lm-γ2m)が肝がんの診断、発がん予測、遠隔転移予測のバイオマーカーになることを見出した。さらに、in vivo、in vivoの解析より、Lm-γ2mは肝発がん及び悪性化進展への寄与が示唆された。しかしながら、Lm-γ2mが肝発がんのどれくらい前より肝臓に影響を及ぼしているか明らかでない。そこで、肝がんの前段階の一つである非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に着目し、in vivo、in vitro解析を行うことを計画した。

研究実績の概要

肝がんは、本邦の悪性腫瘍の死因の第5位を占めており、その新規の診断法や治療法の開発は喫緊の課題である。これまでに当研究室では、血清Laminin-γ2単鎖(Lm-γ2m)が肝がんの診断、発がん予測、遠隔転移のバイオマーカーになることを見出した。このように、Lm-γ2mは肝発がん及び悪性化進展への寄与が示唆されたので、分子機序の解明ためにin vivo、in vitro解析を行った。その結果、肝発がん時に、CK19陽性の肝前駆細胞由来のLm-γ2mがパラクライン増殖因子として、周りの肝細胞に影響を及ぼし、発がんおよび悪性化進展に関与することを示した。以上のように、Lm-γ2mが肝発がん時以降に関連することが明らかとなったが、どれくらい前の段階から肝臓に影響を及ぼすのか明らかでない。
今回、我々は上記の目的を明らかにするために、マウスのLm-γ2遺伝子座をヒトLm-γ2遺伝子に置き換えたヒト型Lm-γ2 Knock-inマウスを用いて、超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量食(CDAA)食餌誘発によるNASHモデルマウスを作製しようと考えた。まず、予備的検討として、CDAA食餌誘発を4、10週間行い、マウス肝臓の状態を確認した。その結果、CDAA食餌誘発により、脂肪蓄積および線維化が進行していることが明らかとなった。さらに、それらマウスから血液を採取し、血清中のLm-γ2m量を測定した。その結果、CDAA食餌誘発10Wでは血清Lm-γ2m量が増加していることが明らかとなった。また、血清AST、ALTを測定し、CDAA食餌誘発4、10WでAST量が増加していることが示された。これらの結果より、NASH病態が進行するとともに、血清Lm-γ2m量が増加することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度には、in vivo解析ではヒト型Lm-γ2 Knock-inマウスを用いたNASHモデルの作製、in vitro解析では、Lm-γ2安定発現肝細胞株、胆管上皮細胞株のシグナル伝達経路および機能解析を計画していた。In vivo解析では、NASHモデルマウスを予定通り作製した。さらに、予備的検討ではあるが、NASHモデルマウスのNASH病態が進行するとともに、血清Lm-γ2m量が増加することを示すことができた。また、in vitro解析では、肝細胞においてLm-γ2単鎖は、形質転換能、細胞増殖能、遊走、浸潤能を有意に増加させ、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるGefitinibにより、増加した遊走能がキャンセルされた。従って、Lm-γ2単鎖はEGFRを介して、形質転換能、細胞増殖能、遊走、浸潤能を増加させることが示唆された。
以上のように当初の研究計画どおりに進み、研究成果も出ているため、今回の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価した。

今後の研究の推進方策

今年度は、研究計画どおり推進する予定である。具体的には以下のとおりである。
①ヒト型Lm-γ2 Knock-inマウスのNASHモデルの解析を行う。まず、CDAA食餌誘導、0、2、4、6、8、10週間行う。それらのマウスの肝切片を用いて、Lm-γ2や肝前駆細胞マーカーのCK19などで免疫組織染色を行う。さらに血清中のLm-γ2単鎖量やAST、ALT、トリグリセリド量の測定を行い、Lm-γ2単鎖とNASH病態との関連性を総合的に判断する。
②Lm-γ2mとNASH病態との関連性をin vitroで評価するために、Lm-γ2安定発現肝細胞株を用いて、パルミチン酸処理を行い、in vitroのNASHモデルを作製する。その細胞株を用いて、NASH病態と関連性が高いDe novo lipogenesis経路などをタンパク質レベル、mRNAレベルで解析する。さらに、NASHモデル細胞株を用いて、トリグリセリド量やCol1A1やαSMAなどの線維化関連遺伝子を解析し、Lm-γ2mとNASH病態との関連性を検討する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Glucocorticoid receptor-NECAB1 axis can negatively regulate insulin secretion in pancreatic β-cells2023

    • 著者名/発表者名
      Udagawa Haruhide、Funahashi Nobuaki、Nishimura Wataru、Uebanso Takashi、Kawaguchi Miho、Asahi Riku、Nakajima Shigeru、Nammo Takao、Hiramoto Masaki、Yasuda Kazuki
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 号: 1 ページ: 17958-17958

    • DOI

      10.1038/s41598-023-44324-y

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ラミニンγ2単鎖をバイオマーカーとした肝発がん,遠隔転移の予測を可能とする新たな診断法2023

    • 著者名/発表者名
      Kaneko Ryo、Funahashi Nobuaki、Yoshimura Toru、Yamashita Taro、Koshikawa Naohiko
    • 雑誌名

      電気泳動

      巻: 67 号: 2 ページ: 59-64

    • DOI

      10.2198/electroph.67.59

    • ISSN
      2189-2628, 2189-2636
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] がん悪性化進展を誘導するリガンド非感受性EphA2断片の相互作用因子の網羅的な探索研究2024

    • 著者名/発表者名
      舟橋 伸昭
    • 学会等名
      東京大学医科学研究所 国際共同利用・共同研究拠点 2023年度成果報告会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Lm-γ2単鎖により誘導されるEGFR/AKT経路を介した肝細胞がんの発症と悪性化に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      舟橋 伸昭、岡田 光、山下 太郎、越川 直彦
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 肝がんにおいて、ラミニンγ2単鎖はEGFR活性化を介してがん悪性化進展を促進する2023

    • 著者名/発表者名
      舟橋 伸昭、越川 直彦
    • 学会等名
      第32回日本がん転移学会学術集会・総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi