研究課題/領域番号 |
23K10869
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
吉本 光佐 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20418784)
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研究分担者 |
三木 健寿 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (80165985)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腎交感神経活動 / 動脈圧 / 減塩 / 食塩負荷 / ラット / 腰部交感神経活動 / 降圧 |
研究開始時の研究の概要 |
世界の疫学調査研究は、塩分摂取量と高血圧発症には正の相関があることを明らかにしてきた。そのため、高血圧と循環器疾患の予防治療に減塩が広く推奨される。しかし、減塩の降圧効果については、議論が多く、過剰な減塩は心疾患の危険率が上昇させることも示された。これらは、疫学調査研究を基に示されてものであり、実験的に減塩が長期間にわたりどのように循環調節に影響を及ぼすかはについてはほとんど検討されていない。本研究は、長期間の高食塩食で高血圧を発症した加齢Wistarラットを用いて、減塩がどの程度の降圧効果があるか、や血圧低下時に交感神経活動の変化がどのように変化し循環調節系にリスクを及ぼすかを検討する。
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研究実績の概要 |
食塩の過剰摂取が高血圧発症の原因となることが一般的に知られており、減塩が求められるが、食塩負荷期、減塩期ともに、腎交感神経活動のナトリウム排泄に果たす詳しい機構は不明である。本研究は、減塩がどの程度の降圧効果があるか、さらに減塩時の交感神経活動の変化がどのように変化し、循環調節系にリスクを及ぼすかを検討するために、3日間の食塩負荷を行い、その後の3日間の減塩期を含めた腎交感神経活動がナトリウム排泄量および循環調節に及ぼす影響を検討した。 [方法]Wistar系ラットを用いて、手術により腎交感神経活動測定用電極と動脈圧測定用テレメトリーを慢性留置した。実験は、3日の食塩負荷として、308,154,0mEq/Lの食塩水を投与し、その前後の3日間をコントロール期とリカバー期として、50mEq/Lの食塩水を投与した。また、毎日の採尿しナトリウム排泄量も検討した。[結果]動脈圧の変化としては、308mEq/L高食塩負荷期にコントロール期に比べて有意な上昇が見られた時間があった以外は、有意な変化は見られなかった。この時、腎交感神経活動は低下し、ナトリウム排泄量は上昇した。また、減塩時、つまり308から50mEq/L、154から50mEq/L, 50から0mEq/Lにすると、いずれも動脈圧の変化は見られなかったものの、308から50mEq/Lでは腎交感神経活動で有意な上昇が見られた。50から0mEq/Lでも腎交感神経活動が有意に増加したが、154から50mEq/Lでは有意な変化は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットの24時間連続測定を数週間に渡り続ける実験であり、実験サイクルに時間を要する実験である。地道な努力の積み重ねにより、概ね順調に実験は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、3日間の食塩負荷からの減塩をおこなった。この結果から、3日間では動脈圧や心拍数といった循環器系の変化は見られないものの、減塩の程度による腎交感神経活動の有意な増加が見られることが明らかになった。2年目である次年度は、短期間の減塩の効果の影響の追加実験に加えて、長期間の食塩負荷からの減塩の効果の検討を行う。 具体的には、短期間の減塩の追加実験として、短期間の食塩負荷からの減塩では循環器系に影響は見られなかったものの、腎交感神経活動は有意に増加していたため、腎交感神経切除を行い、動脈圧の変化とナトリウム排泄量の変化を検討する。また、長期間の食塩負荷からの減塩効果としては、数週間あるいは、幼少期からの食塩負荷後の減塩を検討する。
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