研究課題/領域番号 |
23K10879
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 横浜薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 哲史 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (40449004)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膵臓がん / 間質細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
医療技術の進歩により平均寿命が伸びたが、一方で高額な薬剤の保険使用による医療費増大が社会的な問題となっている。長寿社会において疾患を患った後に、寛解の状態、健康・未病の状態を如何に長引かせることにより、個々のQOLの向上に繋がると考えられる。 がんの中でも膵臓がんは難治性であり、再発リスクも非常に高い。本申請では、膵臓がんの完全寛解・再発予防を目指し、ヒト膵臓癌細胞と間質系細胞(膵臓星細胞)を標的とした新たな膵臓がん治療法に繋がる標的因子の同定を目指す。また、同定した因子を標的とし、比較的安価で、長期間安全に使用できるものが多い漢方薬を用いたサステナブルな治療法の可能性について検討する。
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研究実績の概要 |
膵臓がんと間質細胞との解析を行うにあたり、まず、膵臓星細胞に注目し解析を行った。膵臓がん患者から分離された膵星細胞株として理化学研究所バイオリソース研究センターより提供されたhPSC5とhPSC14細胞について、各細胞における遺伝子発現解析を行った。その結果、両細胞とも膵星細胞マーカーの1つであるαSMAの発現量に顕著な差は認められなかった。一方で、hPSC14において、がん抑制性に作用するがん関連線維芽細胞(CAF)のマーカーとして考えられているMeflinの高発現が認められた。また、hPSC5において、膵臓がん患者の組織において間葉系細胞に発現し、膵臓がんの生存率や予後に関与すると報告のあるアンフィレグリン(AREG)の高発現が認められた。hPSC5もしくはhPSC14と膵臓がん細胞株KMP2を共培養し、グムシタビンに対する化学療法抵抗性を比較した結果、hPSC5との共培養時において有意な膵臓がん細胞の治療抵抗性が認められ、これは悪性化因子AREGの発現パターンと一致していた。 hPSC5とhPSC14について、当初は自然不死化細胞と考えられていたが、増殖有限細胞であることが明らかとなった。そこで、これら細胞の不死化を目指し、ヒト遺伝子上の安全領域であるAAVS1へのhTERTノックイン用のゲノム編集ベクターセットの作製を行った。 本申請課題では、膵星細胞以外の間質細胞としてマクロファージ細胞と膵臓がん細胞との相互作用についても検討課題となっている。そのため、ヒト単球細胞であるTHP-1細胞を用い、各種試薬による刺激によりM1およびM2マクロファージへの誘導を行った。遺伝子発現解析の結果、M1およびM2マクロファージへそれぞれ誘導できたものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種細胞の条件検討などは順調に行えている。ただし、膵星細胞の不死化という当初予定していなかった実験工程が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
膵星細胞の性質におよぼすMeflinやAREGの役割について解析をおこなっていく。また、これら因子が膵臓がん細胞との共培養時に、化学療法抵抗性、転移活性にどのような影響を与えるかについても検討を行って行く。 また、マクロファージにおいても、M1およびM2マクロファージが、膵臓がん細胞との共培養時に、化学療法抵抗性、転移活性にどのような影響を与えるかについても検討を行って行く。
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