研究課題/領域番号 |
23K10898
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
安田 邦彦 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50278446)
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研究分担者 |
森 亮一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30509310)
國本 浩之 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80372853)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | CRISPR / 細胞老化 / マルチオミクス解析 / アセチル化修飾 / mTOR / Mdm20 / 老化シグナル / mTORシグナル / 生体レジリエンス |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はMdm20が生体レジリエンス(老化における生体内変容に対して適応する分子機序)を組織的に制御し、その破綻は加齢性疾患を惹起する主要な原因であることを見出した。加齢臓器内では老化細胞がヘテロな集団を形成しており、その個々の細胞の性質が個体老化の運命を決定づけていると推察されているが全容解明には至っていない。そこで本研究では、申請者等が独自に開発したシングルセルレベルでのマルチオミクス解析(遺伝子・転写・翻訳・代謝産物レベル における統合解析)及び種々のMdm20 遺伝子改変マウスを用いて個体老化におけるMdm20機能を詳細に解明し、Mdm20を起点とした個体老化の全容把握を目指す。
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研究実績の概要 |
健康長寿を延伸し、高齢者の生命活力を維持するためには生物学的老化のしくみを明らかにすることが重要である。現在老化を制御するシグナルとしてインスリンを起点とするインスリン-Akt-mTORシグナルに加え、サーチュインといった長寿遺伝子や寿命制御遺伝子が同定され、さらに最近では細胞老化が慢性炎症を引き起こすことが老化を促進するなど、生物学的老化の仕組みが明らかになりつつある。これまでの我々の研究及び様々な知見よりアセチル化修飾関連分子であるMdm20が老化現象を制御するコア因子の可能性を有することから、個体老化におけるMdm20の関与を詳細に調べるためにはMdm20の組織及び時期特異的な発現抑制マウスの作製が必要不可欠であると考えた。 本年度はCRISPR法を用いてMdm20遺伝子のプロモーター上流に5’側のLoxP部位を、また終始コドンの下流に3’側のLoxP部位を挿入したマウスの作製から取り掛かった。しかしながら、3’側のLoxP部位を挿入したマウスを得ることができたが、5’側へのLoxP部位の挿入に問題が生じ、最終的なLoxP部位を挿入したマウスを得ることができなかった。その後の検証の結果、遺伝子導入自体には問題はなく、5’側のLoxP部位をデザインした場所が影響を及ぼしている可能性が考えられため、今後は5’側のLoxP部位の挿入箇所を変更してLoxP部位挿入マウスの作製を実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はタモキシフェン投与による全身および時期特異的にMdm20を欠損を誘導するMdm20KOマウスを研究分担者のもとで作製を開始した。CRISPR法を用いてguideRNA、Cas9タンパク質及びLoxP配列挿入用のMdm20のOligoDNAを作製し、3’側のLoxP配列を挿入したマウスは無事作製することができた。引き続き5‘側のLoxP配列を挿入したマウスの作製を試みたが、デザインしたプライマーの位置が何らかの影響を及ぼすのか産仔マウスを得ることができなかった。遺伝子導入時の問題なのか、プライマーを設定した場所自体に問題があるのか検証し、次の段階に進むためには再度5’側のプライマーの設定場所を変更して再度トライすることにしたため、現状やや遅れているといった状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を進めるためにはMdm20CKOマウスを作製する必要があり、早急に5’側のLoxP部位の挿入箇所の再検討を行い、Mdm20CKOマウスの作製に取り組む。無事Mdm20CKOマウスが作製でき次第、タモキシフェンによる発現抑制を実施し、各臓器における影響について組織的解析等を行い、Mdm20の個体における機能について検証を行う。 一方で同時にMdm20の新規パートナー分子の同定を進める。NatBのauxiliary subunitであるMdm20はcatalytic subunitであるNat5をパートナー分子としてN-アセチル化に寄与するが、これまでの我々の研究でNat5はMdm20のmTORシグナル制御には関与しないことを明らかにしている。そのためMdm20の新規パートナー分子をプロテオーム解析により同定を行う。
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