研究課題/領域番号 |
23K10928
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
角田 伸人 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (50544615)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 動脈硬化症 |
研究開始時の研究の概要 |
個体内の各組織では、精緻な情報伝達の連鎖反応が行われ、生命活動が維持されるため、組織の破綻も連鎖的に生じる可能性がある。この破綻の代表例は、生活習慣病の動脈硬化症と、認知症のアルツハイマー病(AD)である。末梢組織での平衡状態の崩壊は、中枢組織にも影響を及ぼす。しかし、AD病理を呈するモデルマウスでは動脈硬化は生じない。これより、連鎖的破綻には上流と下流があるのだろうか。本研究では、動脈硬化症モデルマウスを用い、連鎖的破綻を分子レベルで探索し、AD発症機序を解明する。この研究成果から期待されることは、AD発症前の早期発症診断法であり、これと同時に早期対応可能な治療法を開発することである。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病を発症した患者の多くは、遺伝子に変異をもっていない。そのため、本当の発症機序はまだ未解明である。しかし病理学的な特徴の解析より、アミロイドβタンパク質は発症前より脳内に蓄積していることは明らかである。このアミロイドβタンパク質は、正常な脳内でも産生されており、末梢へ排出されている。その排出機序は、動脈の中膜を介して排出されている。動脈硬化症は加齢に伴った発症リスクが高まることが知られている。また動脈硬化症を発症したヒトは、アルツハイマー病を高頻度で併発する。つまり動脈が正常な機能を失うことによりアミロイドβタンパク質の排出も低下すると予想している。この連鎖的な破綻を実験的に証明することを目的としている。そのため、動脈硬化症モデルマウスとアルツハイマー病モデルマウスを掛け合わせたマウスを作製する。これまでにも動脈硬化症モデルマウスが作られてきたが、本研究ではまず新規なモデルマウスを作製する。さらにこれをアルツハイマー病モデルマウスと掛け合わせ、動脈硬化症の状態とアミロイドβタンパク質の蓄積の関係を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、最初の目的である新規の動脈硬化症モデルマウス3匹(オス2匹、メス1匹)を群馬大学生体調節研究所の畑田出穂先生、堀居拓郎先生と作製した。新規マウスと既存のモデルマウスとの違いは、新規モデルマウスでは標的遺伝子を完全に欠損させていることである。一方、既存モデルマウスは、標的遺伝子を部分的に破壊しており、全長のタンパク質は作られない。本研究のマウスでは、標的タンパク質を完全に作られない。この新規モデルマウスの個体数を増やすと同時に、アルツハイマー病モデルマウスとの交配も行い、F1まで生まれている。現在はF2が生まれる準備をおこなっており、モデルマウスの作製が順調に進んでいる。また血管の組織学的解析の検討も行うため、血管内皮細胞に特異的発現するCD31に対するポリクローナル抗体を作製した。この抗体を用いることにより、マウス脳組織において特異的に血管を検出可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪食による負荷を掛け、マウスの体重変化や血中コレステロール値の変化を測定し、いつから動脈硬化が起きているのか心臓や脳内について組織学的に解析する。またアルツハイマー病モデルマウスとの掛け合わせたマウスでは,脳内にアミロイドβタンパク質が蓄積する時期や量についても経時的な変化を解析する。動脈硬化症の発症に伴い、新規モデルマウスと掛け合わせたアルツハイマー病モデルマウスにおいてアミロイドβタンパク質蓄積時期が加速されれば、動脈硬化症を抑制する薬剤等の投与により蓄積時期を改善できるか検討する。
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