研究課題/領域番号 |
23K10931
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
橋本 理尋 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90724253)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞老化 / がん抑制遺伝子 / ARF / 加齢性疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者がARF-DTRマウスやaP2-CREG1-Tgマウスなどの遺伝子改変マウスを用いた基礎老化研究で得てきた情報を効率的に臨床応用するには、まずヒトとマウスの細胞老化誘導機構の差異について解明することが一助となるが、それらについてはほとんど知見がないのが現状である。本研究では、細胞老化の主要な制御因子であるARFがコードされているヒトCDKN2A遺伝子の一部を導入したノックインマウス (ARF-EX2HU) を新規に作製し、ヒトとマウスのARF生理機能の差異を解明する。加えて、ヒトの細胞老化制御機構を体現するマウスで、寿命及び加齢性疾患の進行程度に影響が認められるかについて解析する。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまで、胎児性線維芽細胞等の培養細胞系を用いて癌抑制遺伝子ARFの分子制御機構の解明に取り組んできた。加えて、生体内から老化細胞を特異的に除去可能なトランスジェニックマウス (ARF-DTRマウス) や脂肪組織特異的に分泌糖タンパク質CREG1が発現するトランスジェニックマウス (aP2-CREG1-Tgマウス) を作製し、肺や腎臓への細胞老化の蓄積が各組織における加齢性の機能低下を引き起こしている可能性について明らかにしてきた。これらの先行研究から、加齢性疾患の進行を予防・治療するためには細胞老化を標的とした研究を臨床へ繋ぐことが求められるようになった。これらの遺伝子改変マウスを用いた研究情報を効率的に臨床へ応用させるためには、ヒトとマウスの細胞老化誘導機構の差異を理解することが最善である。しかしながら、それらについては殆ど知見がない状況であった。本研究では、細胞老化の主要な制御因子がコードされているヒトCDKN2A遺伝子の配列の一部を導入したノックインマウス (ARF-EX2HUマウス) を新規に作製し、ヒトとマウスの細胞老化の誘導機序の差異の解明を目指す。 初年度はARF-EX2HUマウスから樹立した胎児性線維芽細胞を用いて、細胞老化の誘導において重要な役割を果たしているArfとInk4aのmRNAレベルについて詳細な検討を行った。興味深いことに、ARF-EX2HUマウスのCDKN2Aの発現パターンは、野生型の発現パターンとは僅かに差異がある可能性が示唆された。引き続き、CDKN2A遺伝子におけるヒトとマウスの僅かな塩基配列の違いが生理学的機能へ与える影響について検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞老化の主要な制御因子をコードするCDKN2Aにヒトの配列の一部を導入したノックインマウスを作製したため、まずは細胞老化の研究に最も用いられてきた胎児性線維芽細胞を樹立し、早急にCDKN2Aから発現誘導されるArfとInk4aのmRNAレベルについて検討する必要があった。初年度の解析結果からは、ヒトとマウスの細胞老化誘導機序の差異を示唆する大変興味深い結果を得られたものの、それらの差異を引き起こしている分子制御機構の全容解明には至らなかったため、おおむね順調に進展しているとの評価区分に留めた。
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今後の研究の推進方策 |
CDKN2A遺伝子の産物について、mRNAレベルの検討に加えてタンパク質レベルでの詳細な検討を進めていく。ヒトの遺伝子配列の一部を導入した細胞老化関連タンパク質は、野生型と比較してサイズや構造も僅かに異なり、細胞老化を誘導する生理機能についても差異がある可能性が考えられる。故に、次年度以降は胎児性線維芽細胞などの初代培養細胞で様々な細胞老化誘導実験を実施し、mRNAやタンパク質の発現パターンの差異や、それらの生理機能の差異について解明していく予定である。加えて、ヒトの遺伝子配列を導入したことによる生体内への細胞老化の蓄積レベルや加齢性疾患への影響について検証を進める。
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