研究課題/領域番号 |
23K10933
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鈴木 信雄 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (60242476)
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研究分担者 |
小林 功 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (30774757)
服部 淳彦 立教大学, スポーツウエルネス学部, 特任教授 (70183910)
平山 順 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (90510363)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 高血糖 / メラトニン / 食品 / 骨代謝 / キンギョのウロコ / 糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
2型糖尿病により引き起こされる骨疾患の機構を調べるため、魚類を用いて高血糖モデルを開発する。グルコース溶液に魚を入れて、高血糖の状況を作り出す。次に、哺乳類にはない、魚類のウロコの特長であるウロコの再生(骨再生)を生かして骨再生に対する影響を評価するためのバイオアッセイ系も開発する。そのバイオアッセイ系を用いて、1型コラーゲンの糖化及び骨芽・破骨細胞に対する作用を解析する。さらに食品中のメラトニンを測定し、メラトニンを多く含む食品による血糖値低下作用や1型コラーゲンの糖化抑制について調べることにより、メラトニンを多く含む食品を用いた糖尿病により引き起こされる骨疾患の予防効果の可能性を探る。
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研究実績の概要 |
【背景】 糖尿病は,慢性的な高血糖を特徴とする代謝性疾患群であり,膵臓から十分なインスリンが分泌されない場合(1型糖尿病)と,分泌されたインスリンに体の細胞(筋肉,脂肪など)が適切に反応しない場合(2型糖尿病)に分類される。1型糖尿病では骨密度が低下するため,骨折や骨粗鬆症のリスクが高くなることが知られている。しかしながら,2型糖尿病は骨密度が正常であっても,骨折する場合があるため,骨質を中心とした骨代謝の詳細な解析が必要である。そこでキンギョをグルコース溶液で飼育して高血糖モデルを作成して,高血糖モデルを用いて,骨代謝に対する作用を解析した。一方,メラトニンが食品に含まれていることから,高濃度でメラトニンを含む食品を探索した。本研究では、メラトニンを高濃度で含む食品を用いた予防・治療を目指す。 【研究成果】 1,2,3,4及び5%のグルコース溶液で7日間飼育後,キンギョの血糖値を測定した。その結果,キンギョを5%グルコース濃度で7日間飼育しても死亡せず,高血糖を引き起こしていることがわかった。次に,糖処理5日間の血液中のCa濃度の変化を調べた結果,血液中のCa濃度が有意に上昇することが判明した。糖処理により骨代謝異常が引き起こされている可能性が高い。そこでウロコの破骨細胞の活性及び骨芽細胞の活性を測定した。その結果、破骨細胞の活性の指標である酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ活性は、糖処理12時間後に上昇し、骨芽細胞のマーカーであるアルカリフォスフォターゼ活性は、糖処理24時間及び36時間後に低下することがわかった。一方、食品に含まれるメラトニンを測定した結果、トマトには38.12±3.59 pg/湿重量(g),カキには13.71±6.87 pg/湿重量(g)含まれていることがわかった。トマトに高濃度でメラトニンが含まれていることから、トマトを用いた実験を行う予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キンギョをグルコース溶液で飼育することにより、高血糖状態のキンギョを作製することができた。また,高血糖のキンギョにおいて,骨代謝異常が引き起こされていることも判明した。さらに植物の中のメラトニン含量を測定した結果,トマトに高濃度でメラトニンが含まれていることを明らかにした。以上のことより,おおむね順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ウロコの破骨細胞が活性化して、骨芽細胞の活性が低下したことから、グルコースが破骨細胞及び骨芽細胞に作用している可能性が高い。そこでウロコのin vitroの培養系を用いて、グルコースが破骨細胞及び骨芽細胞にどのように作用するのかを解析する。ウロコの再生に対する影響も解析する予定。 トマトやカキなどにメラトニンが含まれていることを証明することができたので、次に、これらの食品を動物に経口投与して実際に血液中のメラトニン濃度が上昇するかを調べる。また、そのメラトニンが血糖値を抑制できるのかについても解析する。
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