研究課題/領域番号 |
23K10939
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平坂 勝也 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 教授 (70432747)
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研究分担者 |
二川 健 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20263824)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | エクソソーム様粒子 / マイクロRNA / 機能性タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
日本において、生鮮水産物の多くは刺身に代表されるように「生」で食される。「生」で食すると栄養学的にどのような効果があるのであろうか。近年、生鮮果物などの果汁において、健康増進に寄与するRNAやタンパク質、生理活性物質などを含むエクソソーム様粒子が存在することが報告された。本研究では、魚類由来エクソソーム様粒子の生理学的作用に着目し、「生食」の栄養学的意義を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、魚類由来エクソソーム様粒子(ELNs)の生理学的作用に着目し、「生食」の栄養学的意義を明らかにするために以下の解析を行った。 (1)魚類筋由来エクソソーム様粒子中機能性物質の同定(主担当:平坂勝也、副担当:二川健) 超遠心によるペレットダウン法にELNsの抽出を行った。抽出物をネガティブ染色し、透過型電子顕微鏡にて観察を行った結果、脂質二重膜構造を有したELNsを見出すことができた。ELNsをナノサイト解析に興じた結果、それらの粒子径は100-300 nm程であることが分かった。内腔の物質を調べるため、次世代シーケンスにて解析すると、多くの種類のmiRNAが存在することが分かった。興味深いことに、それらのmiRNAは魚類由来であるにもかかわらず、ヒト由来のmiRNAと同じ配列を有していた。このことは魚類由来ELNs内腔のmiRNAが生物を超え、ヒトの生体内で機能する可能性を示唆する結果であった。miRNAの解析に加えて、内腔のタンパク質についても網羅的に解析を行った。魚類由来ELNsを構成するタンパク質の約38%は既知のエクソソーム構成タンパク質であることが分かった。加えて、数種類の新規機能性タンパク質が同定された。その中にはホルモン様タンパク質が存在しており、筋機能に関わる可能性が示唆された。 (2)魚類筋由来エクソソーム様粒子の安定性(主担当:平坂勝也) ボイルした背部普通筋よりELNsの抽出を試みた結果、抽出量は生の状態と比較して、有意に減少した。この結果から魚を「生」の状態で摂取することで、機能性を有するELNsを効率よく摂取することができることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した研究計画よりも魚類筋由来エクソソーム様粒子中機能性物質の同定や魚類筋由来エクソソーム様粒子の安定性の解析が進んでおり、次年度行う予定であった魚類筋由来エクソソーム様粒子の機能性に関する結果も得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
魚類筋由来エクソソーム様粒子の機能性(主担当:平坂勝也) エクソソーム様粒子を処理することでなぜ培養細胞のミトコンドリア代謝活性が増大するのか。どのようなメカニズムで細胞応答や機能性を発揮するのか解析する。 生体内での食事性魚類筋由来エクソソーム様粒子の検出(主担当:平坂勝也、副担当:二川健) エクソソームに内包された分子量の大きな機能性タンパクやmiRNAなどの核酸は小腸上皮細胞でのエンドサイトーシスを介して、生体内に到達すると考えられる。食事性魚類筋由来エクソソーム様粒子が血液中で検出できるか、各臓器で機能するのか解析する。
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