研究課題/領域番号 |
23K10940
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
佐藤 伸 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (40310099)
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研究分担者 |
向井 友花 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (60331211)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 妊娠期栄養環境 / 視床下部シグナル / AMP活性化プロテインキナーゼ / グルコラファニン / 肥満 |
研究開始時の研究の概要 |
視床下部は、摂食調節に関与する組織であり、エネルギー代謝に重要なAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)等の栄養シグナルが働く。一方、胎生期の栄養環境によって成人後に肥満になりやすいという。応募者は、妊娠期・授乳期に低栄養に曝された母ラットにグルコラファニン(GR)を摂取させたところ、仔の視床下部のAMPK活性が増加することを見出した。そこで、発育初期に摂取するGRは、成長後の摂食調節機構やエネルギー代謝を制御するのではないかと考えた。本研究では、胎生期・乳児期に低栄養あるいは過栄養に曝された仔ラットの発育初期にGRを与え、成長後の体重や視床下部栄養シグナル等に及ぼすGRの影響を検証する。
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研究実績の概要 |
肥満の予防には、摂食やエネルギー摂取を制御・調節し、エネルギー恒常性を維持することが重要とされている。脳の視床下部は、摂食調節に関与する組織であり、エネルギー代謝に重要なAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)やmechanistic target of rapamycin (mTOR)等の栄養シグナルが摂食調節に働いている。一方、胎生期や乳児期の低栄養や過栄養といった栄養環境により、児は肥満になりやすいことがわかってきた。この一因としてエピジェネティックな働きが脳内の視床下部の摂食調節機構に長期的な影響を及ぼすためと考えられている。 アブラナ科植物に含まれているグルコラファニン(GR)は、抗酸化作用を有するほか、エピジェネティックな働きを制御することが知られている。本研究では、乳児期に摂取するGRの児の視床下部や肝臓における栄養シグナルの生理機能を明らかにするために、妊娠期・授乳期に低栄養に曝された母ラットが、授乳期に摂取するGRは、仔の体重や仔の視床下部や肝臓のAMPKやmTORなどの栄養シグナルを制御するかを検討した。 妊娠期・授乳期に通常蛋白食(NP/NP群)あるいは授乳期にGR含有食(NP/NPGR群)を与えた。同様に妊娠期・授乳期に低蛋白食(LP/LP群)あるいは授乳期にGR食(LP/LPGR群)を与えた。離乳直後に雌性仔ラットの視床下部及び肝臓のAMPK及びmTORの活性(リン酸化レベル)を解析した。その結果、LP/LPGRの視床下部及び肝臓のAMPK活性は増加した。視床下部におけるLP/LPGRのmTOR活性はLP/LPに比べて変わらなかったが、肝臓のmTOR活性は減少した。このことから乳児期に摂取するGRは雌性仔ラットの視床下部や肝臓の栄養シグナルに影響を及ぼすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
妊娠期・授乳期に低栄養に曝された母ラットが、授乳期に摂取するGRは、仔ラット(4週齢)の視床下部や肝臓のAMPKやmTORのリン酸化レベルに影響を及ぼすことを示すことができた。しかし、炎症細胞をターゲットとした免疫染色の手法の確立の遅れやリアルタイムPCR解析で用いるプライ―の選択などの不手際が影響して、研究全体の進行に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度において、妊娠期・授乳期に低蛋白食に曝され、授乳期にグルコラファニン(GR)食を与えた母ラットから産まれた雄性仔ラットに、果糖負荷して長期間飼育し、サンプルを得た。今後は、産まれた雄性仔ラットの成長に伴うGRの生理機能を明らかにするために、視床下部における栄養シグナルや炎症に関わる因子などの解析を進めていく予定である。
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