研究課題/領域番号 |
23K10948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
栢野 新市 畿央大学, 健康科学部, 教授 (40412150)
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研究分担者 |
松村 羊子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (80412154)
奥 尚枝 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (90281518)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | タンニン / 高脂肪食 / 脂質代謝 / カキタンニン / Ⅰ型糖尿病 / 腸内細菌叢 / 抗酸化性 / 構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、渋柿より精製された高純度カキタンニンを試料とし、糖尿病に対する有効性と腸内細菌との関連について検討を行う。具体的には、カキタンニンを投与したⅠ型糖尿病自然発症マウスにおいて、肝臓抗酸化機能の改善効果を評価するとともに、腸内細菌叢の改善による糖尿病の発症抑制についても検討する。さらにカキタンニンを資化して増加する腸内細菌種を特定し、その菌株より生成するカキタンニン分解物の構造や機能を明らかにする。これらを通じて、カキタンニンがプレバイオティクスとしての働きを有し、健康増進および疾病予防に有用な食品成分であることの一端を明らかにする。
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研究実績の概要 |
渋柿の渋み成分であるタンニンは強い抗酸化性を有するため健康増進効果が期待されるが、これまで食品としてはほとんど利用されておらず、また摂取した際に生体に及ぼす作用についてもほとんど研究されていない。われわれはこれまでのⅠ型糖尿病ラットを用いた動物実験において、タンニンが腸内細菌によって分解され、生成した低分子化合物が糖尿病によって傷害される肝臓の抗酸化システムを改善する可能性を見いだしている。またその際に同時にラットの腸内細菌叢が変化することから、タンニンがプロバイトティクスとして働くことが示唆されている。本研究では、渋柿より精製した高濃度タンニン粉末を対象とし、生体に対して機能性を発現する際に腸内細菌が関与するメカニズムを明らかにすることを目的としている。また同時に、タンニンがプレバイヲティクスの働きを有し、腸内細菌叢に有用な変化をもたらすかどうかについても検証する。 2023年度においては高脂肪食ラットに対して高濃度タンニン粉末を投与し、その影響について検討を行った。その結果、高脂肪食ラットにおいてはⅠ型糖尿病ラットのような肝臓における抗酸化システムの障害が発生しておらず、抗酸化機能の回復効果は認められなかった。一方、高脂肪食によって引き起こされる肝臓コレステロール含有量の増加、および脂肪滴の増加がタンニン投与によって有意に抑制されることが認められた。 以上の結果より、高脂肪食ラットにおいて引き起こされる肝臓での脂質代謝異常がタンニンの投与によって改善されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料をこれまでの研究で使用していた干し柿の不溶性画分(抽出残渣)から、渋柿から精製された高濃度タンニン粉末に変更した。さらにⅠ型糖尿病ラットを通常のラット+高脂肪食に変更して動物実験を行った。その結果、高脂肪食による肝臓の脂質代謝異常が改善されたことから、タンニンが生活習慣病の予防に対しても有用である可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
タンニンを投与した高脂肪食ラットについて腸内細菌叢の変化を検討する。腸内細菌叢の変化を統計的に解析し、タンニンがプロバイオティクスの働きを有する可能性について評価する。またタンニンの投与によって増加した菌種を特定し、その菌株を購入する。この菌株を用いてIn vitroにおけるタンニンの資化試験を実施し、タンニンを分解する腸内細菌の菌種を明らかにするとともに、生成するタンニン由来の低分子化合物の構造を明らかにする。またこれらの低分子化合物の機能性を評価し、タンニンが生体に対して有用性を発現するメカニズムの一端を明らかにする。
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