研究課題/領域番号 |
23K10950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
小川 由起子 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (40275607)
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研究分担者 |
藤井 佑樹 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (80610063)
大関 泰裕 横浜市立大学, 理学部, 教授 (70275022)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Cordyceps / アミロイドーシス / 冬虫夏草 / アミロイドβ / ガングリオシド |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病では、神経細胞膜上のガングリオシド糖脂質へのアミロイドβ(Aβ)の異常会合により、アミロイド繊維が作られ細胞毒性を示す。本研究では、培養冬虫夏草菌の子実体より精製したレクチンのガングリオシド糖鎖結合性を解析する。本レクチンとAβのGM1への結合を証明した後、GM1を介したAβの異常な会合におけるレクチンの阻害効果を調べる。現在承認されているアルツハイマー病治療薬は分解酵素の働きを抑制しアセチルコリンの減少を抑えるが、本研究では、レクチンを用いてAβの会合を抑制させることでアミロイド線維の形成を抑える、新たな薬効に着目した開発を目指す。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病では、神経細胞膜上のガングリオシド糖脂質へのアミロイドβ(Aβ)の異常会合により、アミロイド繊維が作られ細胞毒性を示す。本研究では、培養冬虫夏草菌の子実体より精製したレクチンのガングリオシド糖鎖結合性を解析した。 今年度は、冬虫夏草がアミロイド繊維形成に直接作用するかを検討した。人工培養で安定して増える系統より得た冬虫夏草を、凍結乾燥粉末(FD)にし、水溶性緩衝液および有機溶媒で抽出して5つの分画を得た。これらを試験管内でAβ1-42とインキュベートし、アミロイド線維の形成を検出するチオフラビンTの蛍光強度を測定すると、Aβ1-42の凝集はFD抽出液の投与濃度に応じて抑制された。さらに、水溶性緩衝液抽出分画によるアミロイド繊維形成抑制効果は、有機溶媒抽出分画よりも強い抑制活性を得た。水溶性分画液には冬虫夏草レクチンを含むタンパク質が豊富に含まれ、この中の成分が線維形成の抑制に働くと考えた。次年度以降、AβとGM1糖脂質が結合するか検討する。同時に冬虫夏草FDからGM1糖脂質結合レクチンの精製、レクチンによる結合阻害の解析を計画する。現在あるアルツハイマー病治療薬は、分解酵素の作用を抑えアセチルコリンの減少を抑えるものだが、本研究では、レクチンによりAβの会合を直接抑えることでアミロイド線維の形成を抑えることを目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
活性を見出した冬虫夏草FDの分離精製を実施しているが、レクチン精製まで到達しておらず、やや進捗が遅れていると言える。しかしながら、冬虫夏草FDがAβ1-42の凝集を抑制することを見出しており、その活性成分がレクチンである可能性も示唆されたことから十分な成果は得られていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
まず、AβとGM1糖脂質が結合するか検討する。冬虫夏草FDのさらなる分画精製を行い、同時に冬虫夏草FDからGM1糖脂質結合レクチンの精製、レクチンによる結合阻害の解析を計画する。さらにレクチン精製が進めば糖鎖アレイで糖特異性の有無も測定できると考える。動物実験では、人工培養した冬虫夏草FDの急性毒性試験、亜急性毒性試験を実施後、アルツハイマー病モデルマウスへの投与実験を行い、大脳及び海馬のコンゴーレッド染色によるアミロイド繊維の状況を確認する。
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