研究課題/領域番号 |
23K10960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
椎木 幾久子 (阿望幾久子) 山口大学, 大学院医学系研究科, 学術研究員(寄附金) (60609692)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 膵α細胞 / 臓器間コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
膵ホルモンは栄養代謝に必須の役割を担うが、栄養環境の変化によって惹起される膵内分泌細胞の挙動(可塑性)は不明である。グルカゴンの要求性が高まると考えられる低炭水化物/高蛋白質食をC57/BL6Jマウスに短期間摂餌させると膵α細胞数が増加する。この摂取栄養変化に対する生体応答機構として、肝臓を起点とした臓器間神経ネットワークを想定し、1.肝臓での代謝シグナル、2.中枢経路、3.遠心路である交感神経系を介したα細胞の分化・新生機構を解明する。
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研究実績の概要 |
膵ホルモンは栄養代謝に必須の役割を担うが、栄養環境の変化によって惹起される膵内分泌細胞の挙動は不明である。グルカゴンの要求性が高まると考えられる低炭水化物/高蛋白質食(LCHP)をC57/BL6Jマウスに短期間摂餌させると膵α細胞数が増加する。このα細胞の変化は迷走神経肝臓枝切断術により消失することから肝臓を起点とした臓器間神経ネットワークの介在を予想した。そこで本研究では、摂取栄養変化によるα細胞の細胞挙動(可塑性)とそれを制御する臓器間ネットワークを解明することを目的とした。 LCHPを10日間摂餌させたマウスでは標準食摂餌マウスと比較して、血中および門脈中のグルコース濃度には変化がないものの、血中インスリン低下、血中グルカゴン上昇、血中総アミノ酸低下、肝グリコーゲン含量低下および肝糖新生亢進を認めた。膵組織解析において、LCHP摂餌マウスでは膵管近傍にグルカゴン陽性細胞クラスター出現を伴いα細胞数増加が観察された。クラスターを構成する細胞はα細胞の分化系譜マーカーPax6陽性;成熟分化マーカーMafB陰性であり膵管近傍に存在する前駆細胞から分化新生したα細胞であることが推察された。この細胞クラスターとα細胞数増加は6-hydroxydopamineを用いた薬理学的交感神経遮断により抑制された。さらに、LCHP摂餌マウスでは求心性迷走神経の中枢端投射先である延髄孤束核および交感神経起始核である淡蒼縫線核において神経活性化マーカーのFosB陽性細胞の顕著な増加を確認した。 以上の結果より、蛋白質を主体とする栄養環境において自律神経を介した細胞新生に基づくα細胞量調節が示唆され、肝臓-中枢神経-膵α細胞での臓器間ネットワークが明らかとなった。グルコース要求性が最も高い中枢神経が膵ホルモン需要を認識し栄養環境変化に対する適応調節に重要な役割を担うことが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は研究協力者を得られたことにより、当初の計画以上に進展している。LCHP摂餌の中枢への影響の評価を神経解剖学の研究者と連携して実施することによって短期間で適切な評価方法で実施することができた。本解析は当初予想していた中枢神経を介した肝臓-膵臓臓器間神経ネットワークの証明に大きく貢献した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は神経ネットワーク惹起に関連する肝臓における代謝変化の解明に取り組む。短期間のLCHP摂餌で誘導される肝グリコーゲン含量低下が、肝臓-膵臓間ネットワークの起点であると予想されるが、高蛋白質(高アミノ酸)のα細胞に対する影響も否定できない。そこで、同じく低炭水化物であり高脂肪/標準蛋白含量食であるケトン食摂餌時において同様の臓器連関によるα細胞新生が誘導されるか解明する。 また、LCHP摂餌によるα細胞量に対する効果だけでなくα細胞機能への影響、つまりグルカゴン分泌への影響についても検証する。
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