研究課題/領域番号 |
23K10984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松林 昭 金沢大学, 電子情報通信学系, 准教授 (10282378)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | Braessパラドックス / ナッシュフロー / アルゴリズム / 誘導部分グラフ / ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
有向グラフGと,G上の出発点と目的点の1つ以上の対が与えられたとき,各出発点と目的点の対を結ぶ経路全体で構成されるGの部分グラフ(経路誘導部分グラフ)Hが,応用と理論の両観点から重要なクラスに含まれるか否かを判定するという新しい問題を提案し,この問題を効率的に解くアルゴリズムについて研究する.この問題はネットワークにおいてBraessパラドックスと呼ばれる好ましくない現象の有無,すなわち,出発地から目的地に向かって移動するオブジェクト群(例えば道路交通網における車両やインターネットにおけるパケットなど)の所要コストを無用に増大させ得る好ましくない区間の存在を判定する有用な応用を含む.
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研究実績の概要 |
ネットワーク構造が点(ノード)と点間を結ぶ辺(リンク)で表され(こうした表現をグラフと呼ぶ),各辺には混雑に応じて定まるコスト(通過時間など)を表す関数が備わっていると仮定する.グラフ上では,多数のユーザが各々の出発地と目的地を表す点対の間を,自身のコストを最小化するように経路を選択して移動する.これらの仮定の下では,同じ点対間を移動するユーザのコストはある一つの値で均衡することが知られている.Braessパラドックスとは,辺を削除することで均衡コストが減少する現象であり,これはネットワークが無用なリンクを含むことを示す. Braessパラドックスが起こるかどうかはグラフ,各辺のコスト関数,各点対の間を移動するユーザ量,という3つの要素によって決まる.これまで研究されてきた課題に「パラドックスが起こり得ない,すなわち,どのようなコスト関数とユーザ量であってもパラドックスが起こらないようなグラフGの条件は何か? さらに,Gがその条件を満たすかどうかを高速に判定できるか?」がある.最初に明らかにされた条件は,全ユーザの出発地と目的地を結ぶ全ての経路で構成されるGの部分グラフH(Gの経路誘導部分グラフと呼ぶ)に基づくが,Gの各辺に向きがある場合(有向グラフ),実用的な時間でHを求めることは一般に困難であると考えられているため,Gがこの条件を満たすか否かを高速に判定するのは難しいと予想されてきた.最近,「有向グラフGに対して,Hを求めることなく,パラドックスが起こり得ないことを判定する高速なアルゴリズム」が提案された.このアルゴリズムは,新たに明らかにされたHに基づかない条件の成否を判定している. 本研究では,この新しい条件とともに最初のHに基づく条件を利用し,より高速なアルゴリズムを設計した.この結果は,Hに基づく条件が高速な判定に利用できることを示した点でも非常に興味深い.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の計画は,1対の出発点と目的点を持つ有向グラフGに対して,Braessパラドックスが起こり得ないことを判定する高速なアルゴリズムを設計することであった.これはGの経路誘導部分グラフH(出発点と目的点を結ぶ全ての単純パスの和として得られるグラフ)が直並列グラフであるか否かを判定することと言い換えられる.Hに基づかない別の特徴づけを用いて同じ結果を求めるアルゴリズムが既に提案されていたが,有向グラフGに対してHを求めることはNP困難であることから,この論文の著者は「Hに基づく特徴づけを利用して多項式時間アルゴリズムを設計することはおそらく不可能であろう」と予想していた.本研究ではこの予想を覆し,Hに基づく条件を利用して,過去のアルゴリズムよりも高速なアルゴリズムを設計した.さらに,このアルゴリズムは,ごく最近示された他のアルゴリズムのアイデアを用いることで複数対の出発点と目的点がある場合にも拡張できる.この拡張は当初2年目の課題として計画していたものであるので,当初の計画以上に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
これまで研究されてきた「Braessパラドックスが起こり得ない」ことの定義は,「与えられたグラフGに対して,どのような辺コスト関数と出発地と目的地の各点対に対するユーザー量(デマンド)rであってもBreassパラドックスが起こらない」であった.この定義をより厳格にし,デマンドを入力の一部とした場合についてはこれまで研究されていない.初年度において当初の2年目の計画が達成されたので,この新しい問題を2年目の課題に設定する.
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