研究課題/領域番号 |
23K10992
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
新家 稔央 東京都市大学, 情報工学部, 准教授 (30247225)
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研究分担者 |
八木 秀樹 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (60409737)
細谷 剛 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (60514403)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ミスマッチ復号 / ARQ方式 / 線型符号 / LDPC符号 / 判定基準 / 復号誤り確率 / リスト復号法 |
研究開始時の研究の概要 |
誤り訂正符号におけるミスマッチ復号とは,通信路のメトリックが完全に把握できない場合や,ハードウェアの制約から正しいメトリックによる計算ができない場合の復号である.本研究はミスマッチ復号における復号誤り確率劣化の改善を目的としている.その方法として「リスト復号法」や「ARQ方式」を併用した方式が考えられるが,これらの研究は行われていない.そこで,ミスマッチ復号におけるリスト復号法の判定基準,ARQ方式に用いる判定基準を新しく提案し,その達成できる復号誤り確率を符号化定理の導出によって評価する.なお,対象とする符号のクラスは,実用的にも重要な線形符号およびLDPC符号とする.
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研究実績の概要 |
判定帰還方式(ARQ方式)は判定基準を満たさない場合には,消失と判定し,同じ符号語の再送を要求する方式である.判定基準のひとつにFR(Forney's Rule)と呼ばれる基準があり,NeymanとPearsonの基本補題に沿う基準として重要である. FRを用いた判定帰還がミスマッチ復号となる場合については,Weinberger and Merhavが,Somekh-Baruch and N. Merhavらの手法で可能であることに言及している.これらの研究は,ミスマッチ復号でないForneyの研究とは別のアプローチで誤り指数を導出している.しかしながら,Merhavの手法はタイプの理論を用いた解析を行っているため,線形符号のような構造を仮定した符号のアンサンブルに対する適用ができない.また,Kazakosuらもミスマッチ復号においてFRが達成する誤り確率を求めているが,非常に大きな仮定をおいている. これに対して本研究では,ミスマッチ復号において達成できるFRの誤り確率の解析を,線形符号アンサンブルを対象として進めている.より具体的には,レギュラーLDPC符号を包含する線形符号アンサンブル(HSSアンサンブル)を対象としている.このような実用的にも重要であるクラスに対し,判定基準FRを用いた場合の復号誤り確率および再送要求確率の上界式を求めている.2023年度は,FRに対する符号化定理の導出とその数値計算例を求めることができた.しかしながら,当該年度内に学会で発表するところまで至らなかった.2024年度中には発表予定である. また,ブロードキャスト通信路においてインデックス符号を用いた方式に関しても研究を進めており,こちらについては学会発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究が採択される以前より,判定基準FRとは別の基準である判定基準LRを用いて,線形符号アンサンブルに対するミスマッチ復号の誤り確率の解析が可能であると予想をしていた.ところが今年度になり,困難であると思われた判定基準FRを用いた場合に対して解析手法の糸口が見えたため,これに注力した.結果を発表するまでのスパンは長くなるものの,FRを用いた手法の誤り確率の解析に対して解析結果を次年度に発表ができるところまで研究は進んでおり,2024年度に発表の予定である.FRに関する発表後は,LRおよびFRに対して,本研究の独自性である「線形符号の仮定」のもとでの精密な復号誤り確率の解析を行い,これらについて比較をする予定である.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,線型符号を用いた判定帰還(ARQ)方式に対するミスマッチ復号の符号化定理の導出に注力していく.判定帰還方式においては,判定基準の設定が重要であるが,判定基準の設定の仕方によっては理論的に復号誤り確率の上界が求まらない場合もある.すなわち,計算を進めていく上で,試行錯誤的に判定基準を設定していく必要がある.2023年度は,判定基準FRに対する復号誤り確率の上界式導出に対し,解析を進めることができた.今後は,判定基準LRに対する解析とその数値計算を進める.そして,両者の性能について比較を行う予定である.有限長のLDPC符号に対し,ミスマッチでない復号における両者の比較はHof, Sason and Shamaiその数値結果を発表している.しかしながら,これらの解析はより精密にできることをNiinomi, Yagi and Hirasawa がFRにおいて示している.そこで,まずは我々がすでに示した手法を従来の解析手法に反映させる.そして,ミスマッチでない復号,ミスマッチ復号の両方に対して,LRとFRの性能比較を進めていく方針である.
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