研究課題/領域番号 |
23K11006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 冬彦 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (90456161)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 情報幾何 / 非正則モデル / Edgeworth展開 / OTEFモデル / 漸近展開 / ベイズ予測 / 予測分布 / 量子トモグラフィ |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は時系列モデルを対象に理論的な性能評価と情報幾何学に関する研究成果を得てきた。これらの知見を生かして非正則な統計モデルの情報幾何学の構築を目指す。OTEFモデルやGSTモデルといった非正則モデルについてベイズ予測の理論的な性能評価を行い、その結果から、非正則モデル上で自然な幾何構造を明らかにする。(課題A) また、量子系の統計モデルでの申請者の研究成果は形式的にベイズ予測を拡張したものと純粋状態モデル上でベイズ予測の概念を拡張したものに分かれていた。本研究では純粋状態モデルは非正則モデルととらえ課題Aの結果も踏まえて統合し、量子統計モデル上で自然な幾何構造を明らかにする。(課題B)
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研究実績の概要 |
正則モデルの漸近理論でEdgeworth展開は基本的なツールであるが、その展開係数は情報幾何学的な量で表すことができる。そのため、数理統計的な推測の問題とモデルのもつ幾何学的な性質を結びつけることができる。本研究では非正則モデルとして切断指数型分布族(oTEF)をとりあげ、同様の議論について先行研究を詳細に調べた。情報幾何的な側面をのぞくと先行研究自体は古くからあり、ある程度、蓄積している。R5年度はこれらについて文献収集と内容について精査した。 また、Cencovの定理が適用できないが主にベイズ統計との関連から望ましい幾何構造をある程度、定めることができる。oTEFモデルでは、対数尤度によるe表現の洞察によりリーマン計量を定義でき、最尤推定量の漸近分散などとも整合性がある。一方、接続の定義には形式的に複数の可能性が存在しうる(正則モデルの場合、両者は一致する。)そこで、本研究ではstatistically equiaffineと呼ばれる性質に注目した。これは、かなりラフに述べるとある種の一様分布の存在を保証し、幾何学的に望ましい性質である。ところが非正則モデルの場合、先行研究にあるようにアファイン接続の1パラメータ族を定義すると、上の性質をうまく定義できなくなる。oTEFモデルは非正則パラメータを固定すると指数型分布族になりstatistically equiaffineである。oTEFモデルは指数型分布族の自然な拡張だから、statistically equiaffineという性質が拡張定義できる方が望ましい。そこで、oTEF上の接続の1パラメータ族としてe接続とLevi-Civita接続の混合接続を定義とした。このことからoTEF上ではα平行事前分布の存在も直ちに示せる。副産物としてGhosalたちの導出したreference 事前分布とも一致することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、非正則モデル、特にOTEFモデルにおけるベイズ予測に関する研究・調査は次年度に回したが、当該年度において、先に研究に必要となる非正則モデル上でのEdgeworth展開に関する調査を完了させることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
非正則モデル、特にOTEFモデルにおけるベイズ予測に関する研究・調査を進める。
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