研究課題/領域番号 |
23K11020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
栗原 考次 京都女子大学, データサイエンス学部, 教授 (20170087)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | エシェロン解析 / 位相的データ解析 / 時空間情報 / ホットスポット / 可視化 / 位相的構造分析 / 階層構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、格子データに対するエシェロン解析による同位相分類の考え方を2次元以上の空間においてわかりやすく視覚的に表現するとともに、位相的データ解析(Topological Data Analysis : TDA)の技法を応用し、地球統計学データ、空間点パターンデータも包括した時空間データ全体に対する位相的データ解析の展開を図る。また、本研究成果のソフトウェア化を行うとともに一般公開し、各分野において収集される時空間データに関する問題の解明に寄与する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、時空間データに対して同位相分類に基づくエシェロン階層的構造を利用し、1.エシェロンスキャン法による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)データの時空間ホットスポットの検出及び信頼性・安定性の評価、2.位相的データ解析によるデータの空間的構造の可視化を行うための位相的データ解析マッパー及び同位相分類のアルゴリズム開発、についての研究を推進した。 1.では、エシュロン解析に基づく空間スキャン統計量を利用し、東京地区におけるCOVID-19陽性患者数に関するデータの各波について、ホットスポットクラスターを同定し、可視化を行うとともにCOVID-19ホットスポットクラスターが「どの地域に」「いつから」存在したかを明らかにした。また、エシュロンスキャン法は観測データのばらつきの影響を受けやすいため、検出されたクラスターの信頼性・安定性の評価を行った。 2.では、COSA (Clustering Objects on Subsets of Attributes)と位相的データ解析マッパー (TDA Mapper : Topological Data Analysis Mapper) を組み合わせた分類の方法及び同位相分類のアルゴリズムの開発を行った。 これらの研究成果は学会誌「計算機統計学」, 35(2), 49-62, (2023)および国際学会IASC-ARS2023 (The 12th conference of the Asian Regional Section of the International Association for Statistical Computing)での招待講演、国際学会The 8th Japanese-German Symposium on Classification 2023において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、時間的・空間的に相互作用を受ける時空間データに対して同位相分類を行うエシェロン解析を用いて、(1) 検出されたクラスターの信頼性・安定性の評価に基づく時空間データにおける真のクラスター(ホットスポット)に近いクラスターの検出法、(2) 種々の形状のホットスポットを検出可能なエシェロンスキャン法による東京におけるCOVID-19陽性患者数に関するホットスポットクラスターの同定と可視化、に関する分析を行っている。また、格子データに対するエシェロン解析による同位相分類の考え方を2次元以上の空間においてわかりやすく視覚的に表現する可視化の方法を提唱するとともに、位相的データ解析(Topological Data Analysis : TDA)の技法を応用し、時空間データ全体に対する位相的データ解析の展開を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで研究を行ってきた時空間データのエシェロン解析による同位相分類と構造解析に基づく技法を基にエシェロン解析の展開を図る。また、位相的データ解析に関する研究を進め、2次元さらに3次元以上空間データの同位相分類の可視化する2つの方法について検討する。最初の方法は、2次元格子空間データに対して、同じ位相を持つ分類に基づき1次元格子空間データに並び替えることにより、視覚的に1次元格子データと同じイメージで取り扱うことを利用する。2つ目の方法は、TDAの一つ技法であるパーシステントホモロジーのようにデータの各点を中心とした円を考え、半径を増加させた図形の形に着目したTDA解析についての研究も行う。TDA研究は、日本ではあまり活発でない状況であり、本研究により日本国内における空間データを中心とした位相的データ解析の研究の発展を目指す。さらに、エシェロン解析に関する世界初の日本語のテキストとして共立出版から出版したが、より多くの研究者にエシェロン解析を利用していただくために英語のテキスト出版の準備を進める。
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