研究課題/領域番号 |
23K11029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
金子 敬一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20194904)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | トーラス / 超並列計算機 / 直径 / 平均距離 / 最短経路選択 / 素な経路選択 / 耐故障経路選択 / 高信頼システム / ディペンダブルコンピューティング / メッシュ |
研究開始時の研究の概要 |
近年の超並列計算機は多くのノードを持つ.トーラスでは,次元を上げることで,同じノード数ならば,ノード間の最大距離(直径)や平均距離を小さくすることができる.これは,通信における最大遅延や平均遅延を低減することに対応する.しかしながら,一般にn次元トーラスでは,各ノードの次数は2nとなる.ノードの次数は,配線密度やピン数といった物理制約によって制限される.そのため,現在の技術では6次元を超えるトーラスを実用化することは困難になっている.そこで,本研究課題では,高次元のトーラスにおいて次数に制約を与えて,接続するリンク数を極限まで減らした位相を提案し,実用的な観点から,その性質を調査する
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研究実績の概要 |
本研究では,超並列計算機向けに新たに提案する位相である「メタトーラス」において,「直径」,「平均距離」,「フィードバックノード集合」,「2分バンド幅」といった基本性能の評価,および「最短経路選択アルゴリズム」,「2ノード間の素な経路選択アルゴリズム」,「1ノードとノード集合間の素な経路選択アルゴリズム」,「2ノード集合間の素な経路選択アルゴリズム」,「耐故障経路選択アルゴリズム」といった5つのアルゴリズムの開発と評価を目指している.初年度である2023年度は,まずメタトーラスの厳密な定義を与えることに成功した.また,その直径を正確求めることができた.これらの作業と並行して,計算機実験のための実験環境の構築を行い,開発環境に問題がないことを3つの予備実験によって確認した.具体的には,「パンケーキグラフ」,「焦げたパンケーキグラフ」,「クロスキューブ」,「バイキューブ」といった4つの既存の位相を取り上げ,基本性能「フィードバック頂点集合」の評価,「1ノードとノード集合間の素な経路選択アルゴリズム」の開発と評価,「耐故障経路選択アルゴリズム」の開発と評価を実施した.いずれの研究成果も,学会論文誌あるいは国際会議に投稿し,採択されている.現在は,「バイキューブ」において,「2ノード集合間の素な経路選択アルゴリズム」の開発をほぼ完了しており,このアルゴリズムを計算機実験用の環境上に実現して,評価実験を目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において,超並列計算機向けに新たに提案する位相である「メタトーラス」において,上述の基本性能の評価,および5つのアルゴリズムを開発,評価するにあたり,初年度である2023年度は,まずメタトーラスの厳密な定義を与えることに成功した.また,その直径を正確求めることができた.これらの作業と並行して,計算機実験のための実験環境の構築を行い,開発環境に問題がないことを予備実験によって確認した.予備実験では,4つの既存の位相において,上述の基本性能を評価することとアルゴリズムの一部を開発,評価することを実施した.具体的には,まず,「パンケーキグラフ」と「焦げたパケーキグラフ」という2つの位相において,「フィードバックノード集合」を求めることに取り組み,成功した.正しくフィードバックノード集合が求められていることを計算機実験により確認し,研究成果を論文誌に投稿したところ採択された.次に,「クロスキューブ」という位相において,「1ノードとノード集合間の素な経路選択アルゴリズム」の開発に取り組み,成功した.構築した実験環境を用いて評価実験を行い,その結果を含めて研究成果を取り纏め,論文誌に投稿したところ採択された.最後に,「バイキューブ」という位相において,「耐故障経路選択アルゴリズム」を開発した.このアルゴリズムにおいても計算機実験によりアルゴリズムの性能を評価し,研究成果を取り纏めて,国際会議に投稿したところ,採択され,発表を行った.以上の経緯から,本研究はおおむね順調に進展しているということができる.
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今後の研究の推進方策 |
現在は,「バイキューブ」において,「2ノード集合間の素な経路選択アルゴリズム」の開発をほぼ完了しているため,まずは,このアルゴリズムを計算機実験用の環境上に実現して,評価実験を目指す.研究成果を速やかに取り纏め,国際会議あるいは論文誌に投稿して発表する.その後,本題である,メタトーラスにおける基本性能の評価,および5つのアルゴリズムの開発,評価に移行する.具体的には,まず,2024年度は,残された基本性能のうち,まずは解析的に「平均距離」を求めることを試みる.同時に計算機実験を行い,実験的に「平均距離」を算出する.アルゴリズムに関しては,最も簡単な「最短経路選択アルゴリズム」の開発に取り組む.同時に素な経路選択アルゴリズムの中では最も簡単な「2ノード間の素な経路選択アルゴリズム」を目指す.いずれのアルゴリズムについても,完成した場合は,解析的な評価に加えて,計算機実験による平均性能評価を実施する.それぞれの研究成果を取り纏め,国際会議あるいは論文誌に投稿して,発表する.次に,2025年度は,基本性能のうち,「フィードバック頂点集合」および「2分バンド幅」に取り組む.また,5つのアルゴリズムのうち,残った「1ノードとノード集合間の素な経路選択アルゴリズム」,「2ノード集合間の素な経路選択アルゴリズム」,「耐故障経路選択アルゴリズム」の開発,評価に取り組む.いずれも計算機実験を経て,研究成果を取り纏め,国際会議あるいは論文誌に投稿して,発表する.
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