研究課題/領域番号 |
23K11038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
永山 忍 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (10405491)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 外観検査システム / 機械学習 / ハイパースペクトルカメラ / プログラマブルハードウェア / 論理設計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,製品の良品・不良品の高速判定システムを開発し,システムの詳細な性能評価により,その実用可能性や適した利用範囲を明らかにする.開発するシステムはハイパースペクトラムカメラとIsolation Forestという機械学習を用いて構成される.近年の深層学習に比べ,シンプルかつわかりやすいシステム構成のため,製造現場でのカスタマイズが容易に行えることが期待できるが,その一方で精度や処理速度が実用に耐え得るレベルになるかが未解明である.この未解明課題を明らかにすることで,当該分野における新たな可能性を提案する.
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研究実績の概要 |
地方でのスマートファクトリー推進を目的とした良品・不良品の高速判定システムの開発というテーマで,初年度は,これまでに培ったネットワーク侵入検知技術を製品の外観検査に適用し,その実用性や改善課題などを把握するために主に以下の研究を行った. 1.先行研究で用いた技術の画像内異常検知への適用 研究の手始めに,先行研究に用いたIsolation Forestによる異常検知手法を画像内の異常検知へ適用し、対象画像1枚のみの教師無し学習でも画像内の異常物を十分な(90%近い)精度で検知できることを確認した。また、一般に決定木ベースの機械学習では苦手とされる多くのバンド幅を持つスペクトルデータ(多次元データ)に対しても、主成分分析を前処理として適用することにより、高精度な検知が可能となることを確認した。用いた機械学習アルゴリズムは、高解像度画像に対しても実用的な時間内(秒のオーダー)で異常検知が可能であることも評価の結果、明らかになった。製品に紛れた異物については容易に検知可能であることが明らかになったが、凹みやしわ、キズなどの特徴分析までには至らなかった。 2.機械学習アルゴリズムの改良 先行研究の技術で高解像度画像に対しても実用的な時間内での異常検知が可能であることが確認できたが、目的とする製造ライン上でのリアルタイム異常検知のためには、アルゴリズムの高速化が必要である。そこで、先行研究の技術を改良し、学習時間および推論時間の両方が短縮可能となる手法を考案した。これにより精度を落とすことなく、処理時間を約80%程度短縮できる。考案アルゴリズムはシンプルであるため、ハードウェア化がしやすく、更なる高速化も可能である。また、誤検知を少なくするために、異常検知した画像の場所から、製品のデザインか凹みかを判断するルールベース手法との併用についても検討を行い、ルールで誤検知を減らせる見込みを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、計画時には予想できなかったハードディスクの故障による研究データおよびプログラム等の消失が発生してしまった。耐故障性を高めるRAIDを構築していたためバックアップを取っておらず、大学の計画停電の際に研究に必要なデータが完全に消失してしまった。専門業者に依頼し、データは完全に復旧できたものの、復旧までにかなりの時間と費用を要し、その期間は研究を中断せざるを得なかっただけでなく、予定していた研究機材の調達も予算不足のためできなくなってしまった。 しかし、その一方で、今後のハードウェア化を念頭に置いたアルゴリズムの開発や2024年度の計画として想定していたルールベース手法との併用に向けた検討を実施し、データ消失・復旧による遅れの巻き返しを図った。その結果、研究機材を必要としない理論解析などは比較的円滑に進めることができ、「研究実績の概要」の欄で述べた成果が得られため、研究の進み具合としては「やや遅れ気味」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画時には予期できなかったハードディスクの故障により、研究データが完全消失してしまったため、研究全体の進捗状況はやや遅れ気味ではあるものの、遅れているのは機材の利用が必要な研究(ハイパースペクトルカメラによる製品画像の撮影など)であり、理論的な解析やアルゴリズムの考案については、データ復旧後の巻き返しにより、むしろ当初の計画より進展したと言える。データ復旧に2023年度予算の多くを使ってしまったため、2024年度以降の研究機材の調達計画は若干変更する必要があるものの、研究計画の巻き返しは可能な範囲であるため、実施の順番を理論優先に変更した以外は、当初の研究計画を今後もそのまま実行可能である。 予算的な制約の範囲で研究機材を工夫しながら調達していくことで、当初の計画とは若干ことなるものの、先行して実施した研究の成果を活用し、遅れの巻き返しを図る。
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