研究課題/領域番号 |
23K11067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
野林 大起 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40632906)
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研究分担者 |
佐藤 剛至 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所レジリエントICT研究センター, 研究員 (40785531)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | IoT / LPWA / TCP/IP |
研究開始時の研究の概要 |
IoT 向け無線通信として、低データレートかつ超長距離通信が可能な Low Power Wide Area (LPWA) 通信が着目されている。しかし、IoTサービス毎に通信性能要求が異なるため、LPWAにはその要求に応じて無線通信パラメータを適切に設定する仕組みが必要である。また、LPWAを用いたIoTサービスでは独自のネットワーク構築するため、サービス間のデータ連携と利活用は困難な状況にある。本研究はこれらの課題を解決するため、無線資源利用効率化とサービス間連携を促進するレジリエント IoT 基盤を提案し、次世代の IoT 実証に向け実証実験を通して、これらの実現可能性について検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は無線資源利用効率化とサービス間連携を促進するレジリエント IoT 基盤の実現に向けて、様々なサービス要求に応じて適切な通信品質を獲得可能な適応型無線通信パラメータ決定手法を検討し、かつ柔軟なデータ利活用を想定した TCP/IP over LPWA 技術の研究に取り組んだ。前者については、令和5年度は移動環境への LPWA 通信の適用を想定した。LPWA 通信の多くは無線フレーム長が数10ミリ秒以上となることも多く、長いエアタイムとなることから移動に伴って変動するフェージングの影響を受けることになる。そのため、ペイロード長に依存するエアタイムと通信成功率との間には関連性があり、LPWA 通信におけるスループットに影響を及ぼしているのではないかと考え、電波伝搬模擬装置とLoRa無線機を使用した実験を通じて、移動環境におけるフェージングとエアタイムとの間の関連性について評価した。実験結果より、ペイロード長の最適点が存在することが確認でき、移動局の移動速度に応じて最適なフレーム長を選択する方式の実現可能性を検討することができた。後者については、令和5年度はLPWAの通信特性に適応可能なTCPにおけるパケット送信制御に取り組んだ。LPWAは送信レートが小さく、かつ他の通信との衝突回避のため一定時間の送信間隔を必要とすることから、従来のTCP送信制御では通信性能が著しく低下する。そこで本研究では、TCP/IP over LPWAにおいて、送信ウインドウサイズ制御、確認応答パケット制御を導入し、実機による実験を通して通信性能を改善できることを明らかにした。また、データ連携・利活用に向けたIoT基盤の構築と実証実験に向けて、北九州市皿倉山を中継点とし、九州工業大学の戸畑・飯塚キャンパスを接続するための通信実験を実施し、LPWAによる長距離通信を用いたキャンパス間接続の実現可能性を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では2つのテーマに取り組んでいるが、令和5年度に予定していた項目に対して、当初の計画通りに研究が進展している。具体的には、(1) 移動体におけるフェージング影響を考慮した効率化手法のシミュレーション評価、(2) TCP/IP over LPWAにおける通信性能の改善を目的とした送信制御手法の提案と評価、(3) それらの技術を統合し活用するためのIoT基盤構築に向けた準備について推進しており、各項目において国内研究会における発表や国際会議での報告など、一定の成果を上げることができている。以上のことから、無線資源利用効率化とサービス間連携を促進するレジリエントIoT基盤の実現に向けて、着実に成果を出しつつ研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に引き続き、IoTアプリケーション要求に基づく適応型無線通信パラメータ決定手法に関する研究、ならびにTCP/IP over LPWA のための無線通信規格を考慮した新しいトランスポートプロトコルに関する研究を推進する。具体的には、令和5年度に得られた移動体におけるフェージング影響の評価結果等を用いて、実際にLPWAを搭載した移動体における動的送信パラメータ制御手法を提案し、実機実験による性能評価を予定している。また、TCP/IP over LPWAにおいては、LPWAによるマルチホップ環境におけるTCPの通信性能改善を目指し、令和5年度までに提案してきた方式の改良を行い、こちらも実機実験による性能評価を推進する。また、レジリエントIoT基盤の実現に向けて、5G/Beyond 5G/6GやWi-Fi ネットワーク、低軌道衛星通信等を対象とし、アプリケーション要求に応じた無線通信を提供可能なプラットフォームの検討、設計を実施する。
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