研究課題/領域番号 |
23K11068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
酒井 和哉 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (80730746)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | クラウドソーシング / モバイルソーシャルネットワーク / 分散アルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、インフラが崩壊した被災地での災害復旧や都市部での情報センシングの最適化を目的として、スマートフォンやカメラセンサー端末などの多種多様なIoT端末を介したリアルタイム型モバイルクラウドソーシング基盤を開発する。
具体的には、1)異なるモビリティモデルを包含するリアルタイム型モバイルクラウドソーシングのモデル化、2)接触型モビリティ特性を持つネットワークにおける分散タスク割り当てアルゴリズムの設計、3)スマートフォンやセンサー端末へのプロトタイプ開発と実験実証を実施する。本研究により、新たなモバイルアプリケーションや経済共有サービスを創造することが可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、インフラが崩壊した被災地での災害復旧や都市部での情報センシングの効率化を目的とした、スマートフォンやカメラセンサー端末などの多種多様なIoT端末を用いたリアルタイム型モバイルクラウドソーシング基盤の開発を目的とする。 初年度は、異なるモビリティモデルを包含するリアルタイム型モバイルクラウドソーシングのモデル化を検討した。タスクが発生してから処理が完了するまでの時間を1)割り当て遅延、2)処理遅延、3)回収遅延といった三つの遅延に分類し、モデル化を図った。タスクが生成される頻度をポアソン分布として扱い、またサーバとワーカ間の接触頻度は指数分布に従うと仮定し、グリーディー手法に基づいたタスク割当アルゴリズムを開発した。提案手法では、タスク期限(Deadline)までにタスクが回収できる確率が最も高くなるワーカにタスクを割り当てることによって、タスク処理効率の最適化を図る。性能評価として、ランダムグラフを用いた性能評価を実施し、案モデルから実測値を概ね良好な精度で予測できることを明らかにした。研究成果は、国際論文誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は、リアルタイム型モバイルクラウドソーシングのモデル化と接触型モビリティ特性を持つネットワークを対象としたタスク割り当てアルゴリズムの開発に取り組んだ。まずタスクが発生した後、それら処理が完了するための遅延をモデル化した。具体的には、1)割り当て遅延、2)処理遅延、3)回収遅延、といった3つの遅延に分類した。ここで割り当て遅延と処理遅延は、簡略化のために待ち行列での遅延を包含する。随時生成されるタスクの発生頻度をポアソン分布として記述し、待ち行列理論で用いられる手法を適応して、タスク遅延の抽象モデルを定式化する。パフォーマンスモデルの解析によって、モバイルクラウドソーシングのタスク遅延に影響する要因を明らかにした。 次に接触型モビリティ特性を持つ遅延耐性ネットワークを具体例として取り上げ、タスク割り当て手法を検討した。遅延耐性ネットワークでは、サーバとワーカ間の接触頻度は指数分布に従うことが知られている。このとき確率モデルに基づいて、タスク期限(Deadline)までにタスクが回収できる確率が最も高くなるワーカにタスクを割り当てるグリーディー法に基づいたアルゴリズムを開発した。シミュレーションによる性能評価によって、提案モデルから実測値を概ね良好な精度で予測できることを明らかにした。研究成果は、国際論文誌に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、開発したタスク割り当てアルゴリズムのシミュレーション・実装並びに論文執筆に取り組む。アルゴリズムの開発では、タスクの発生頻度とワーカ数、タスクのワークロードをパラメーターとし、クリティカル条件(新たに発生したタスクを期限内に処理できる確率が100%または0%に収束する条件)を明らかにする。 アルゴリズムの性能評価としては、シミュレーション並びに実装によって有効性を示す。初年度では、ランダムグラフを用いて性能評価を行ったが、次年度以降はCRAWDADで公開されている実モビリティトレースを用いて、シミュレーションを行い、モデルの妥当性を評価する。また次年度の後半からプロトタイプの実装に取り掛かる。サーバとモバイル端末(Android, iPhone, タブレット, スマートワッチ, etc.)にアルゴリズムを実装するとともにプロトタイプを開発し、東京都立大学日野キャンパスで概念実証(Proof-of-Concept)を実施する。キャンパス内のある場所の写真を撮るといったタスクを生成し、簡易モバイルクラウドソーシングの実験実証を行い、有効性を明らかにする。
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