研究課題/領域番号 |
23K11084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
今井 信太郎 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (50510260)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 災害時代替ネットワーク / アドホックネットワーク / ドローン |
研究開始時の研究の概要 |
発災初期の通信手段の確保は重要な課題である.避難者の端末を用いて通信をバケツリレー式に中継するアドホックネットワークは,既存インフラを必要としないためその解決手段となりうるが,端末数が少ない人口非密集地においては孤立が生じやすい.本研究では,ドローンを用いてアドホックネットワークを補完することによる,人口非密集地における発災初期の代替通信ネットワーク実現を目的とし,被災者の多い区域を避けて飛行するドローンの展開手法および緊急度に基づくドローン間の通信手法を研究開発する.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,近年急増する回転翼機型のドローンを用いてアドホックネットワークを補完することによる,人口非密集地における発災初期の代替通信ネットワークの実現を目的とし,被災者の多い区域を避けて飛行することによるドローンの展開手法および緊急度に基づくドローン間の通信手法を研究開発するものである.本年度は,(A)ドローン間で共有する必要のある情報の定義や共有方法,各ドローンの飛行ルート決定手法の設計・開発,および(B)避難者端末とドローン間の通信プロトコル,緊急度の高い通信の判定方法,通信パケットの設計,ドローン間の通信プロトコルなどについて研究を推進する予定であった. (A)については,被災者の多い区域を判別するための各区域で観測した被災者のスマートフォン等から発信されるプローブ信号数,ドローンの衝突回避などに使用する飛行座標をドローン間で共有することとした.飛行ルートについては,事前の研究で提案した手法の課題であるドローン配置の偏りを是正する方法について検討した.これらにより,孤立(小グループ)被災者を重視したネットワークの構築,および限られた資源での迅速なネットワーク展開が実現される. (B)については,通信パケットのヘッダに優先度を格納し,通信を中継するドローンがその情報に基づきパケットの送出順を制御する手法を設計した.ドローン間の通信方式については,複数の無線通信方式を検討し,実機による評価のための準備を行った.本提案手法はドローンが常に移動しながらネットワークを構築する手法であるため,ドローン間の接続は間欠的となる.このため,制約がある接続状況下における緊急度の高い情報を優先した通信が必要であり,(B)によりそれが実現される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は,初年度において,(A)ドローン間で共有する必要のある情報の定義や共有方法,各ドローンの飛行ルート決定手法の設計・開発,(B) 避難者端末とドローン間の通信プロトコル,緊急度の高い通信の判定方法,通信パケットの設計,ドローン間の通信プロトコルの設計・開発,(C) 2年目に実施予定のシミュレータによる評価のためのサーバの準備,(D)プロトタイプシステムの試作と実環境における評価実験のためのドローンの試作を予定していた.このうち,(B)のドローン間の通信プロトコルの設計・開発,および(D)のドローンの試作について遅れが生じている. (B)のドローン間の通信プロトコルについては,申請段階では無線LANによる接続を想定しており,それを前提として研究を進めているが,一方で,920MHz帯を利用するLPWA等の長距離通信を用いることで,ドローンの必要数を削減できる可能性がある.このため,両者を比較できるように,通信デバイスの作成を並行して進めている. (D)のドローンの試作については,研究期間中の安定した部品供給があるかどうかという点や,整備のコスト,実験時の安全性等の観点から,既製品の使用も視野にいれて検討を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
進捗に遅れのある部分も含めて,当初の予定どおりに研究を推進する.前述したドローン間の通信プロトコルについては,2種類の通信方式を比較し,より優れている方式を採用する.920MHz帯を利用する通信を採用する場合は,スループットの大幅な低下など,通信に関する制約が大きくなるため,その対応策を含めて比較する必要がある.ドローンの試作について,既製品を使用することになった場合は,予算の組み替えも含めて速やかに対応する.
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