研究課題/領域番号 |
23K11132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田中 雅宏 岐阜大学, 工学部, 教授 (80267848)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | フォトニック結晶導波路 / 導波モード / CAD / コンピュータシミュレーション / モーメント法 / 積分方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
演算処理の高速化を目的に光コンピュータの研究開発が行われている。光コンピュータの基本素子をフォトニック結晶導波路で構成する方法があり,フォトニック結晶導波路を解析・設計する手法の開発は重要な工学課題である。 一般に導波路解析において,解析領域は全空間(無限領域)であり,未知関数は全電磁界である。コンピュータで数値計算を行うためには,解析領域が有限領域である解析手法が必要である。 申請者は,スラブ導波路において,全電磁界から導波モードを除去することにより無限領域を有限領域と見なせる解析手法を開発し,その有効性を示した。本研究では,その解析手法をフォトニック結晶導波路に適用する。
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研究実績の概要 |
演算処理の高速化を目的に光コンピュータの研究開発が行われている。光コンピュータの基本素子をフォトニック結晶導波路で構成する方法があり,フォトニック結晶導波路を解析・設計する手法の開発は重要な工学課題である。 一般に導波路解析において,解析領域は全空間(無限領域)であり,未知関数は全電磁界である。コンピュータで数値計算を行うためには,解析領域が有限領域である解析手法が必要である。我々は,スラブ導波路において,全電磁界から導波モードを除去することにより無限領域を有限領域と見なせる解析手法を開発し,その有効性を示した。本研究では,その解析手法をフォトニック結晶導波路に適用する。 令和5年度は,ピラー円柱型三角形格子で構成される直線状フォトニック結晶導波路における導波モードを解析するコードを開発した。解析手法として積分方程式に基づくモーメント法を用い,進行方向には周期境界条件を適用した。モーメント法により得られる行列方程式が自明でない解を持つように導波モードの伝搬定数を求めた。さらに,フォトニック結晶を構成する円柱表面における表面電磁流の値を求め,直線状フォトニック結晶導波路における電界分布を求めた。数値計算により得られた伝搬定数および電界分布は,すでに報告されている文献の結果と比較して妥当であることを確認した。 予想しなかった数値計算結果として,表面電磁流の値が非常に大きくなる点が生じる場合があった。その原因を調査・検討したが原因を特定することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の研究計画は,フォトニック結晶導波路における導波モードを解析するコードを開発することである。解析対象および解析手法等は以下の通りである。解析対象は,ピラー円柱型三角形格子で構成される直線状フォトニック結晶導波路である。解析手法には,積分方程式に基づくモーメント法を用いる。進行方向には周期境界条件を適用する。 令和5年度の研究成果は以下の通りである。フォトニック結晶導波路における導波モードを解析するコードを開発した。開発したコードによる数値計算の結果を,すでに報告されている文献と比較して,開発したコードの妥当性を検証した。フォトニック結晶を構成する円柱表面における表面電磁流の値が異常に大きくなる場合があった。ただし,大きな値をとる点は1点だけであった。表面電磁流の値が大きくなる点が生じる理由は,物理的な現象によるものではなく数学的あるいは数値計算によるものであると考えて調査・検討した。しかし,その理由を特定できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,以下の2つの「学術的問い」を考察する。(1) 全電磁界から導波モード(離散スペクトラム)を除去した電磁界を未知関数とする 積分方程式により,導波路問題を解析できるか?(2) 全電磁界から導波モード(離散スペクトラム)と放射モード(連続スペクトラム)の一部を除去した電磁界を未知関数とする積分方程式により,導波路問題を解析できるか? 2つの「学術的問い」を明らかにするため,本研究では,解析対象をスラブ導波路とフォトニック結晶導波路として,「全電磁界から導波モー ド(離散スペクトラム)を除去した電磁界」や「全電磁界から導波モード(離散スペクトラム)と放射モード(連続スペクトラム)の一部を除 去した電磁界」を未知関数とする積分方程式に基づくモーメント法を開発する。 令和6年度は,「学術的問い(1)」の答えとしてフォトニック結晶導波路を解析するコードを開発する。フォトニック結晶導波路に対して,「全電磁界から導波モード(離散スペクトラム)を除去した電磁界」を未知関数とする積分方程式に基づくモーメント法を開発する。 積分方程式の定式化は導波路の構造に依存しないため,フォトニック結晶導波路を解析するプログラムの構造はスラブ導波路のものとほとんど同じである。導波路構造の違いは,積分方程式の積分路である境界と導波モードに繰り込まれる。しかし,スラブ導波路に比べて,フォトニック結晶導波路の境界は全長が長いため,モーメント法により帰着される連立一次方程式の次元数は大きくなる。
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