研究課題/領域番号 |
23K11137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
山中 脩也 明星大学, 情報学部, 准教授 (90548877)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 精度保証付き数値計算 / 誤差解析 / 数値解析 / 高精度計算 / 高性能計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は次の4つの問いに焦点を当てる. 【問1】HDN-M 微分法を用いて、高精度な結果を与えることは可能か 【問2】問1の条件を満たした上で、高速な結果を与えることは可能か 【問3】問2の条件を満たした上で、精度保証された結果を与えることは可能か 【問4】代数的構造を持つ高精度かつ高速で高信頼な微分法の『高可搬化』は可能か つまり本研究課題は、HDN-M 微分法が代数構造を持つという特徴を最大限に生かしつつ、現在使っている計算機環境のまま、僅かなソフトウェアの変更で、従来の精度より精度の良い結果を、精度保証付きで得られ、誤りの無い解が計算できる高速なアルゴリズムの実現を目指すものである.
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研究実績の概要 |
本研究は,工学で頻繁に出現する『多変数関数の微分計算(特に、任意階の高階偏微分)』に対し,超双対数(Hyper-Dual Numbers :HDN)の代数的構造を用いて微分法の基礎理論を整備し,[1] 高精度(倍精度より高精度の出力が可能),[2] 高速(行列ライブラリを使い既存手法より高速),[3] 高信頼(すべての誤差を考慮し精度保証可能),[4] 高可搬(倍精度のみ利用しどの計算機でも動作),という4つの特徴を持つ計算アルゴリズム(4H-Algorithm)を開発することである. 2023年度は HDM-M 微分法の代数的構造調査と,行列計算における数値誤差の定量化の二つを目指し,主に後者についての検討を進めた.本研究の最終的な目的が,高精度・高速・高信頼・高可搬という4つの特徴を持つ計算アルゴリズムの開発であるため,HDM-M 微分法の計算アルゴリズムの高速化の方針について,いくつかの視点から検討を行った.具体的には,高速性を比較的重視することで,計算誤差が比較的早く蓄積してしまいあまり高い精度は望めないが近似計算アルゴリズムと比較してある程度高速な計算アルゴリズムを目指すのか,高精度であることを比較的重視することで,近似計算と比べると比較的低速になってしまうが,計算誤差を精密に把握し,精度を担保しつつ高速化もできる範囲で目指すものにするかである.2023年度の研究では後者の可能性を探り,最終的に得たい微分計算の値に応じていくつかの可能性があることを突き止めることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は「HDN-M 微分法を用いて、高精度な結果を与えた上で,高速な結果を得ることは可能か」という問いについて,高精度な結果を担保しつつ,その上で,同様のアルゴリズムと比較可能なアルゴリズムを検討できているという点で概ね,順調と言える. HDM-M 微分法の代数的構造調査という方向性からアルゴリズムの高速化を検討できていないが,予備検討時の内容にて,計算量の低減を狙えるという知見が得られているため,それらをうまく駆使して,高品質な計算アルゴリズムを検討していきたい.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の予備検討を行なっていた際に,最終的に得たい微分計算の値によっては,計算量を低減できることを突き止めていたが,現段階で検討しているアルゴリズムにはその点をうまく反映できていない.どのような内容であれば,この計算量の低減アルゴリズムを効率的に活用できるのかについては,もう少し検討の余地がある.この内容について,HDN-M 微分法の代数的構造などからもさらにアプローチしていくことで,バランスの取れた高品質なアルゴリズムを検討していきたい.
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