研究課題/領域番号 |
23K11139
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
友枝 明保 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70551026)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 渋滞学 / 交通流 / 数理モデル / セルオートマトン / 車両制御 / 経路選択 / 数理工学 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の交通渋滞による経済損失は,年間12兆円に相当するという推計があり,自動運転車による渋滞緩和が期待されている.交通流に関する数理モデル研究は1950年代には始まっており,自然渋滞の仕組みを解明するなど,その貢献は大きい.しかし,自動運転車が交通流に与える影響について十分解明されているとは言い難い.本研究では,まず流量を判断基準とする車両制御方法によって交通流がどのように変化するかを明らかにする.さらに,道路上の車両位置を考慮した経路選択戦略によってネットワーク上の交通流がどのように変化するかも明らかにすることで,渋滞緩和を実現する効果的な車両制御方法及び経路選択戦略を確立する.
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研究実績の概要 |
本研究では, 交通流を記述する数理モデルとして,確率を含んだセルオートマトンで表現されるStochastic Optimal Velocity(SOV)モデルを基礎モデルとしている.このSOVモデルに車両制御の効果を組み込んで拡張したControlled-SOVモデルを既に提案していたが,これらのモデルには,車両間の相対速度が考慮されていなかった.そのため,既存研究の中から,SOVモデルに車両間の相対速度を組み込んだRevised-SOVモデルに注目し,このRevised-SOVモデルが示す特徴について検証を行った.その結果,Revised-SOVモデルは,SOVモデルで再現できなかった交通流の特徴を捉えることに成功しており,相対速度の効果は本質的に重要であることを確認できた.その一方で,Revised-SOVモデルには,確率セルオートマトンモデルの定式化として不適切な点が含まれていることも明らかとなった. また,申請時には予定していなかったが,阪神高速道路のある区間の実データを取得することができたため,そのデータを用いて,交通流に見られる特徴として,車線利用率と渋滞時の密度境界の移動速度を確認した.車線利用率では, 渋滞発生直前に,走行車線の車線利用率が追い越し車線より少なくなることが知られており,当該データでも同じ特徴を示すことが確認できた.また,密度境界の移動速度は,一般的に渋滞は進行方向逆向きに約20km/hで移動すると言われているが,当該データでは,進行方向逆向きにおよそ14km/hで移動していることがわかった.さらに,当該区間のデータでは,渋滞の先頭が固定化されていることも明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば,2023年度は,制御モデルを用いて交通流の変化を明らかにすることが目標であったが,制御モデルに含まれていなかった相対速度の効果についての検討に時間を要したため,本来の進捗より遅れている状況である.ただ,モデルに相対速度の効果を組み込む修正を行うことにより,当初予定していたモデルよりも精緻なモデルとなるため,今後の数値シミュレーションに対して重要な検討であったと考える.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き,相対速度の効果も考慮した制御モデルを構築することを目指し,そのモデルを用いて交通流の変化を明らかにしていく.また,当初の予定にあった自動運転車の割合に応じた車両制御の有効性についても検討を行う予定である.
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