研究課題/領域番号 |
23K11142
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山内 泰樹 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60550994)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 色覚 / 等色関数 / 色覚メカニズム / 個人差 |
研究開始時の研究の概要 |
人間の色覚メカニズムの個人差が原因で,異種メディア間でのカラーマッチングにおいて,① 個人によって一致する色が異なる,② 色が一致した状態を計測器で測定しても測色値が一致しない,等の問題がある. しかし,上記問題を引き起こす色の見えの個人差の要因は,完全に解明されてはいない.本研究では,色覚に寄与する生理的特性を実験的に求めた被験者における色の見えを測定し,色の見えの個人差に深く関連する生理的特性を明らかにするとともに,種々の心理物理実験を通じて取得される視覚特性を用いて間接的に色の見えの個人差を予測するモデルを構築し,色の見えの個人差の補正方法を提案することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本年度は,等色関数と相関のある視覚特性に関する調査を実施しつつ,根幹となる等色関数の測定精度の向上を目指した活動を中心として行なった.特に,等色関数の測定は1)熟練者でないと高い測定精度での実験が困難で,ばらつきが大きい,2)等色を行う際に,どのような操作を行えばよいか(原刺激RGBの強度をどのように調整すれば近づくのか)が直感的にわからない,等の問題がある.また,最大彩度法と呼ばれる方法では,参照刺激(単色光)に原刺激の一部を混食させる必要があり,参照光とテスト光の両者が変わることで,判断が難しくなる,という問題点がある.これに対して,もう一つの主たる方法であるMaxwell法では,参照光が白色光で固定されるため等色の判断は容易であるが,2)の問題は解決されない. 本年度はMaxwell法での実験装置の構築,並びに容易な測定方法の確立およびその検証を主として実施した.Maxwell法では参照白色の選定が重要になるので,標準白色光を採用した.参照光として用いるLEDを複数ユニット化し,ユニット交換する光学系の設計・製作を行ない,精度検証を行なった.次年度の本格実験に向けての準備がほぼ整った.また,測定手法も候補光を提示して選択させる方法を考案した.Maxwell法では色予測を行うモデルを適用して色度を計算する必要があり,その有用性について検証する準備を行なった. それと並行して,等色関数のテンプレートを用いて,異種メディア等色実験結果から個人の等色関数を推定する方法も検討し,この手法をMaxwellに適用することで等色関数がどの程度推定されるのかを来年度の実施項目とする. 等色関数の個人差を表す視覚特性については,フリッカーのピーク値が等色関数との相関が見られそうな予備実験結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
等色関数の個人差を精度よく測定することで,視覚特性との相関を明らかにすることができるため,本研究の根幹部分に対して,熟練度等を要求しない手法を確立することは必須であり,それに目処がついたことは2年目以降のデータ収集に対して高精度で実施できることが期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
等色関数の精度良い手法を確立すること,離散的なデータから補間して連続的な等色関数を求める手法の検討を行う.等色関数のテンプレートを使用する手法について,検討を継続しそのメリットデメリットを明らかにする. 視覚特性の検討は,個人差が報告されている特性で色依存性がみられるもの,特に短波長領域の個人差がみられるものを検索し,山形大学での実験環境に落とし込みデータの収集を開始する.
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