研究課題/領域番号 |
23K11161
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
|
研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
岸田 拓也 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 助教 (80827907)
|
研究分担者 |
中鹿 亘 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90749920)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 声質変換 / 音声信号処理 / 拡散確率モデル / 脳波音声合成 / 感情変換 / エネルギーベースモデル / 生成モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、従来の声質変換課題をどのように再定義して取り組めば、声質変換技術をより自由自在で創造的なものにできるのかという学術的問いに答えるべく、変換対象が特定の声質属性内だけに制限されず、より柔軟な方法で目標声質が指定可能となるように問題設定の範囲を広げた声質変換課題に挑戦する。 1)目標声質の静的及び動的特徴の両方を再現、2)複数の声質属性を同時に制御する、3)テキストと声質とを関連づけることのできる人工知能の学習、これらを可能とする手法を生成モデルの一つである深層エネルギーベースモデルのポテンシャルを引き出すことで明らかにし、創造的声質変換の実現を目指す。
|
研究実績の概要 |
本課題は、「声質変換課題をどのように再定義して取り組めば、声質変換技術をより自由自在で創造的なものにできるのか」という学術的「問い」に答えるべく、「特定の声質属性内だけに制限されず、ラベルによらない方法で目標声質が指定可能となるように問題設定の範囲を広げた声質変換課題に挑戦する」ことを目的とする。研究計画の概要として、1)目標声質の静的及び動的特徴の両方を再現、2)複数の属性を同時制御、3)テキストと声質とが関連づけられた表現空間の獲得、これらを可能とする手法を深層エネルギーベースモデルのポテンシャルを引き出すことで明らかにし、創造的声質変換の実現を目指す。 2023年度は深層エネルギーベースモデルと関連の深いニューラルネットワークモデルである、拡散モデルを用いて、誰の発話であるかという話者性を変換する声質変換モデルの設計・評価を行った。数学的に定式化の異なる2つの拡散モデルについて、どちらのモデルが話者性の声質変換の課題に適しているかを実験で評価したところ、変換の過程において入力音声の話者性の情報と発話内容の情報との分離が期待できる仕組みを有する提案モデルが、高い変換性能を実現できることを確かめた。 また、音声を聴取した際の脳活動を脳波として観測し、脳波信号と聴取音声信号の組を用いてニューラルネットワークモデルを学習することで、脳波から聴取音声信号を再現する試みも行った。テスト用の脳波信号からは言語内容が明瞭な音声を出力することはできなかったが、脳波の由来となる音声の話者が異なれば、異なる声質の音声が出力されることを確認した。このことから、脳波信号から声質に関する情報が読み出せると分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
拡散モデルはエネルギーベースモデルと数学的な定式化の点で関連が深く、今回明らかにしたことは、深層エネルギーベースモデルのポテンシャルを引き出すという点において有用であると考える。また、脳波から声質の情報を読み出せると分かったことは、従来的な方法によらない声質変換手法を実現するという本課題達成に貢献したと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に得られた知見を踏まえ、引き続き声質変換モデルの設計と評価を行う。2023年度の研究成果から、拡散モデルで声質変換を行う場合、一度入力音声から声質情報を取り除き、拡散モデルによって新しい声質情報を付与することが効果的であると分かったため、声質情報を効果的に取り除く手法を明らかにする。具体的な方法の一つとして、音声のメルスペクトルを多変量解析により次元圧縮し、単純な構造のみを残すことで声質情報が取り除けるかを確認する。また、声質の動的特徴を変換するために、発話のリズムを再現に長けた声質変換手法におけるモデル学習の枠組みをエネルギーベースモデルに適用し、エネルギーベースモデルで発話のリズムを変換する手法を現在検討している。
|