研究課題/領域番号 |
23K11178
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
深見 忠典 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (70333987)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | ブレインコンピュータインタフェース / 指運動 / 脳波 / 運動想起 / 位相 / 分類 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,脳波から運動を想起した身体部位を特定することで,リハビリテーションにおける患者の機能改善/運動補助への応用やロボットなどの対象物体の操作を可能とするインタフェースの実現を目的とするブレインコンピュータインタフェースに関する研究である。ここでは,人体の細部に対する補助や制御を可能とするため,局所部位における運動想起を識別すべく,指に着目し,五指の運動想起時の脳波分類を試みる。その際,頭部組織の影響を受けやすい脳波の振幅情報ではなく,脳内活動源から電極までの活動電位の伝達時間を反映した量であると考えられる位相情報に着目し高精度の分類を目指す。
|
研究実績の概要 |
今年度は,指運動時脳波の識別における最適な計測条件および位相データ補正アルゴリズムの開発について研究を実施した。 前者については,指運動速度と脳波解析区間が分類精度に与える影響を調査するため,深層学習に基づく分類により親指と人差し指の2指の指運動時脳波の分類を行った。指運動速度については遅い場合(slow条件)と速い場合(fast条件)の2条件で,また解析区間では指屈曲時に同期して抽出したデータ区間を解析窓とする場合とランダムに抽出したデータ区間を解析窓とする2条件で比較を行った。さらに解析窓のサイズが分類精度に与える影響についても調査を行った。結果として,10名の被験者に対する平均分類精度に基づき評価したところ,運動速度においてはfast条件で,解析窓の設定においては屈曲時のタイミングに同期した条件で,有意に高い値を示した。また,解析窓のサイズについては,大きくなるにつれ,分類精度が上昇した。これらの結果は,解析において最適なパラメータを設定するのはもちろんのこと,事前に被験者に対してタスク実行時に最適な条件を課すことで,識別精度の向上につながることを示唆している。 次に後者ついては,頭皮上の位相分布の滑らかさを考慮した位相アンラップアルゴリズムを作成し,計算機プログラムを完成させた。しかしながら,識別精度におけるその有効性についての確認は行っておらず,今後の課題として残された。さらに,高周波成分では低周波成分に比べ,電極間距離の増加に伴い,位相差が大きく誤差も生じやすくなることから,アルゴリズムの妥当性についての検証を慎重に行い,並行して最適な電極配置についても検討を行いたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験内容や計測方法の決定までに時間を要してしまい,学内の倫理審査への申請や脳波計の購入における機種選定が遅れてしまったことが最大の要因である。しかしながら,倫理委員会による承認および新規の脳波計導入後は,スムーズに研究が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,引き続き指運動の識別精度を向上させる最適な計測条件を探索する。また,すでに作成した位相アンラップアルゴリズムについて,その妥当性を確認しながら,識別精度の算出と必要な修正を繰り返すことで,アルゴリズムを確定させたい。それと並行して,高周波成分では低周波成分に比べ,電極間距離の増加に伴い,位相差が大きく誤差も生じやすくなるという問題を解決すべく,最適な電極配置について検討を行う。機械学習による分類手法についても,現在一般的に広く使用されている畳み込みニューラルネットワークを用いているため,脳波などの時系列信号の分類に適したネットワークの導入について検討を行いたい。
|