研究課題/領域番号 |
23K11185
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
石井 千春 法政大学, 理工学部, 教授 (80296079)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 触診システム / 手術支援ロボット / 近赤外分光法(NIRS) / 力触覚提示 / 結紮作業 / 触診 / 腹腔鏡下手術支援ロボット / 力覚/触覚提示 / 疲労 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、腹腔鏡下手術支援ロボットを用いた触診、および結紮作業における術者の脳活動と筋活動の疲労を近赤外分光法(NIRS)により定量的に評価し、力覚/触覚フィードバックを行った際に術者にかかる負担が軽減することを明らかにする。初年度は、①ロボット触診システムを用いて、触診時の脳活動と筋活動の疲労を評価し、評価に適した筋を特定する。次年度は、②手術支援ロボットを用いて結紮作業を行い、力覚/触覚フィードバックの有無において、結紮作業時の脳活動と筋活動の疲労を評価する。最終年度は、③外科医の協力の下、①と②の操作を外科医に対して実施する。
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研究実績の概要 |
近年、手術支援ロボットによる施術が拡大している。しかしながら、世界で最も普及している手術支援ロボットda Vinciには力覚/触覚のフィードバック機能が無く、ロボット手術による医療事故の報告が後を絶たない。臨床使用されている手術支援ロボットに力覚/触覚のフィードバック機能が搭載されていない理由として、手術支援ロボットに高精度の3次元腹腔鏡が搭載されているため、力覚/触覚のフィードバックの必要性が軽視されていることが挙げられる。そこで本研究では、腹腔鏡下手術支援ロボットを用いた触診、および結紮作業における術者の脳活動の疲労を近赤外分光法(NIRS)により定量的に評価し、力覚/触覚フィードバックを行った際に術者にかかる負担が軽減することを明らかにする。これにより、今後のロボット手術における力覚/触覚提示の重要性を発信し、ロボット手術による医療事故を低減することが目的である。初年度は、ロボット触診システムを用いて、①力覚フィードバックのみ、②触覚フィードバックのみ、③力覚フィードバックと触覚フィードバックの両方、による触診時の脳活動をNIRSにより測定し、それぞれにおける脳の疲労を評価した。被験者3名に対する測定により、③力覚フィードバックと触覚フィードバックの両方による触診時が最も脳疲労が現れにくい、という結果が得られた。得られた結果はロボティクス・メカトロニクス 講演会 2024で公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、ロボット触診システムを用いて、①力覚フィードバックのみ、②触覚フィードバックのみ、③力覚フィードバックと触覚フィードバックの両方、の3種の条件により、NIRSを用いて触診時の被験者の前頭前野背外側部における酸素化ヘモグロビン濃度変化を測定し、被験者の脳疲労発生の評価基準を設定した。結果として②触覚,①力覚,③力触覚の順に術者に負担がかかるという結果が得られた。これより、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、②手術支援ロボットにおける右鉗子ロボットを製作する。これは、Yaw方向,Pitch方向,Roll方向、Translation方向の4自由度の操作が可能で、把持部開閉による把持力と鉗子先端が対象物に接触した際の押しつけ力を術者に力触覚フィードバック可能なものである。これにより、既に製作された左鉗子ロボット及び腹腔鏡ロボットと併用して、結紮作業時の力触覚フィードバックが可能となる。最終年度は、③製作した力触覚フィードバック可能な吊り下げ型手術支援ロボットシステムを用いて、力触覚フィードバックを行う場合と行わない場合において、被験者に結紮作業を行ってもらい、被験者の前頭前野背外側部における酸素化ヘモグロビン濃度変化を測定し、力触覚フィードバックを行う下での脳活動の疲労低減を定量的に評価し、得られた成果を国際会議等で世界に向けて発信する。
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