研究課題/領域番号 |
23K11194
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
柴田 傑 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (90649550)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | バーチャルリアリティ / 民俗芸能 / 人形操作 / デジタルツイン |
研究開始時の研究の概要 |
民俗芸能は貴重な文化財であり,本研究では人形操作を伴う芸能に着目する.VR技術により民俗芸能で使われる人形の仮想空間での再現に取り組み,どのように計測すれば人形の特徴を計測できるかという点を明らかにする.併せて,VR空間における操作も可能とし,人形操作のコツや注意点について学習者に提示することによって,効果的に学習できるように支援システムを構築する.以上を民俗芸能の関係者との協働で実施することで,人形操作の練習ができる仮想環境の構築を目指す.
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研究実績の概要 |
茨城県日立市には,指定文化財である「日立風流物」という芸能がある.風流物は,巨大な山車の上で人形を操作する芸能である.本研究では,風流物の伝承に資するために,日立風流物の人形操作の学習を支援するシステムの構築を目指す.まず,風流物の人形を計測して仮想空間に再現し,仮想空間中で操作できるようにする.次に,演技者の特徴を解析して仮想空間中に提示する.さらに,学習者の習熟度に合わせて情報を提示することによって効果的な学習を促すことを目指す. 2023年度は,日立市郷土博物館および日立風流物の保存会の協力を得て,人形のカシラの三次元計測を実施した.また,計測の際の聞き取り調査により,カシラの文化的な背景や特徴,実際の芸能で必要な要素についての知見が得られた.研究当初想定されていなかった新たな知見として,風流物の人形操作では,人形の糸の操作の習熟だけでなく,人形の構造やからくりの原理などの理解が重要となることも明らかとなった. 三次元計測したカシラはCGモデルとして仮想環境に再現し,電子博物館を想定したプロトタイプシステムにて表示できるようにした.また,3Dプリンタによる複製の再現にも取り組んでいる.カシラの計測および復元は日立風流物の実演においても注目されており,風流物の関係者から今後に期待できるとの意見も得られた. さらに,人形操作における紐の引き具体を再現可能な模型および紐の引き具合をデジタル計測してCGキャラクタを操作するプロトタイプシステムを構築しヒューマンインタフェース学会にて発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,まず,日立風流もののデジタル化に取り組む計画であった.はじめに,人形を傷つけずに精度よく計測する手法を検討し,その後計測したデータを仮想空間に再現する方法を検討する計画であった.本年度は非接触の計測方法としてEinScanを用いて安全かつ一定の精度で三次元計測できることを明らかにした.さらに,VR開発環境であるUnityを用いて再現したCGモデルをブラウザで表示できるプロトタイプシステムを構築し,計測・再現のための知見を得ることができた. また,3Dプリンタを用いて実環境での再現も取り組み一定の成果を得られた. これらの結果から,日立風流物のデジタル化についての基礎的な計測,デジタル再現手法の知見が得られたといえ,計画はおおむね順調に進行しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って,続き三次元計測したデータの仮想空間での再現手法についての検討を進める.まず,糸の引き具合に応じて計測したCGが動作するプロトタイプについてブラッシュアップを進め,風流物のの専門家との議論を目指す. 2024年度以降は,人形操作の学習支援について検討する計画である.ここで,2023年度の調査の結果,風流物の演技をするうえで,糸の具体的な操作だけでなく人形の構造の理解が重要であることが指摘されている.これは,歴史的に人形の製作者が政策の段階で工夫を凝らし,演じているという文化的な背景とも一致する.そこで,3Dプリンタによる再現について改めて検討し,人形の構造の理解につながるようなワークショップの開催や教材の開発なども含め,必要に応じて当初計画を拡張も視野に研究を進める.
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