研究課題/領域番号 |
23K11195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
佐藤 美恵 宇都宮大学, 工学部, 教授 (00344903)
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研究分担者 |
橋本 直己 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (70345354)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 仮想現実 / アバタ / 重さ錯覚 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,アバタを主体的に操作できる1人称視点と,自身がアバタを纏っている様子を視認できる3人称視点を融合させた“1+3”人称視点を提案し,アバタとの一体感を高めつつ,アバタの印象による錯覚効果を最大限に引き出すことによって,人の知覚錯覚効果の限界領域に挑戦する. まず,R5, 6年度に,アバタに対する自己主体感と自己所有感が得られる“1+3”人称視点の視界映像の生成と,多種多様なアバタの力強さの印象を連続値で直感的に計測できる定量的評価手法の開発を行う.そして,R7年度に,それらの技術に基づき実験システムを構築し,アバタの印象による重さ錯覚効果の限界領域を特定するための実験を実施する.
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研究実績の概要 |
本年度は、3人称視点により得られる自己所有感の向上と、自身と一体化したアバタの一部半透明化表示による操作性の確保を兼ね備えた“1+3”人称視点を提案した。そして、“1+3”人称視点から見た際に得られるアバタの印象による重さ錯覚への影響を明らかにするために、力強い印象を持つアバタを用いて、“1+3”人称視点、通常の3人称視点、1人称視点それぞれにおける、自己所有感、自己主体感、アバタの力強さの印象、そして印象変化による重さ錯覚を、ダンベルの重さ比較実験を通して検討した。その結果、“1+3”人称視点は、自己所有感、自己主体感、アバタの力強さの印象において3人称視点よりも高評価であり、1人称視点と比較しても同程度かそれ以上であった。重さ錯覚では、Friedman検定を行った結果、“1+3”人称視点、3人称視点、1人称視点の間に有意傾向が見られ、Holmの多重比較より“1+3”人称視点は3人称視点に対して有意傾向を示した。 また、アバタの力強さの印象評価では、「力強さ」という言葉には人によって解釈に曖昧さが生じるため、「力強さ」を「持ち上げられる最大の重さ」として、被験者がアバタに抱く印象を連続値で直感的に計測できる定量的評価手法を開発した。評価指標としては、重さを容易に想像できる物体の画像群を用意し、各画像中の物体の重さ感を、自身が持ち上げられる最大の重さのものを基準に、相対的な数値で表すことを試みた。そして、これらの評価指標から、アバタとなった際に持ち上げられそうな最も重い物体を直感的に回答してもらい、その物体の重さ感を、その被験者が抱くアバタの力強さの印象とした。このようにアバタの力強さの印象を数値化することで、人以外も含め力強そうな多種多様なアバタ間の微妙な印象の違いを定量的に評価可能にした。 これらの研究成果は、国内学会3件、国際会議2件にて発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5、6年度に計画していた基盤技術の開発を予定通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、引き続き、基盤技術の開発を行う。具体的には、自身と一体化したアバタの後ろ姿を視認しつつ主体的操作性を維持できる視点位置と、アバタ自体が視野を遮らないための半透明化表示、自身の身体とアバタが物理的に離れた位置に感じられる影響を抑えるためのアバタのデフォルメ表示を、自己主体感と自己所有感を評価基準とした被験者実験により最適化して、重さ錯覚により効果的な“1+3”人称視点を検討する。 令和7年度には、開発した基盤技術に基づき実験システムを構築し、アバタの印象による重さ錯覚効果の限界領域を特定することを試みる。
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