研究課題/領域番号 |
23K11199
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田上 直美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (70231660)
|
研究分担者 |
鮎瀬 卓郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20222705)
藤村 誠 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (30229041)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | バイオフィードバック / 生体情報 / リラクゼーション / 歯科治療恐怖症 / 仮想曝露 |
研究開始時の研究の概要 |
歯科治療恐怖症の患者数は顕著な増加傾向にある。本研究の目的は、歯科治療恐怖を克服する非侵襲的曝露療法としての仮想現実(VR)アプリケーションを開発することである。最初に、歯科治療の実写撮影映像からVR動画を作成する。その後、動画視聴により生じるストレスを主に脳波による生体情報センシングによって検出し、検出したストレスの度合いをリアルタイムでアニメーション化してVR動画へ重ね描きできるようプログラミングし、アプリケーションを完成させる。さらに、このアプリケーションでバイオフィードバックによるストレス管理が簡便に実践できるかを、ボランティア被験者によって検証する。
|
研究実績の概要 |
R5年度においては,バイオフィードバックに用いる生体情報として最も適切な指標を定める研究を実施した。 歯科治療経験のある健常成人でDFSスコアが21点以上であった26名のボランティア(男性11名,女性15名,平均年齢27.8歳)に対し,歯科用エアスケーラを用いて下顎歯肉縁上の歯面清掃を実施した。その際にストレスを感じるかどうかを,脳波・心拍変動,皮膚コンダクタンス,呼吸数・脈拍数を計測した。用いたリラクゼーションは4種類で,ホットアイマスク,アイマスク,音楽ありヘッドホン,音楽無しノイズキャンセリングヘッドホンとした。4種類のリラクゼーション法は4×4のクロスオーバーデザインとして実施した。DFSスコアによって歯科治療への恐怖心が高い群(高スコア群)と低い群(低スコア群)の2群に分け,それぞれに対し信頼性,正規性の検定を行った後,ウイルコクソンの符号順位和検定を行った。 その結果,高スコア群では音楽ありヘッドホン使用時に皮膚コンダクタンスの低下が認められ,ストレスが減少していると推測された。低スコア群ではアイマスクの使用で脳波のHF値(高周波成分)が有意に低下し,ストレスが増加していると思われた。しかしながら,皮膚コンダクタンスの値は温度によって左右されることも確認され,ホットアイマスクのデータにはアーチファクトの存在が疑われた。別に,視覚情報への恐怖心の高低,切削への恐怖心の高低の2群に分類し分析した結果では,切削への恐怖心が高い群で音楽無しノイズキャンセリングヘッドホンで,視覚情報に対する恐怖心が高い群で音楽ありヘッドホンでストレスが減少した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VRについては,何度か試作品を作成したものの完成に至らず,R6年度に引き続き完成を目指すこととしている。また,生体情報の取得,出力についても見直しが必要と思われる。今後は,心拍数をリアルタイムでWiFi経由でWindows PCに出力できる計測機器を購入し,新たにデータを得る予定。
|
今後の研究の推進方策 |
VRのシステムを完成させる。現在使用している皮膚コンダクタンス測定器は,iOSへの出力のみが可能であり,Windowsでリアルタイム出力できなかったため,生体情報をリアルタイムでWiFiを用いて出力できる医療機器を購入予定。また,予定していた皮膚コンダクタンス値はアーチファクトの存在が疑われるため中止し,最も確実な生体情報と思われる心拍数をバイオフィードバックとして用いる。
|