研究課題/領域番号 |
23K11234
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
遠藤 聡志 琉球大学, 工学部, 教授 (00223686)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 降雨強度予測 / 雲形分類 / ドライブレコーダー / EfficientNet / AlexNet / Grad-CAM / 気象現況 / 畳み込みニューラルネット / ドライブレコーダー画像 / 画像分類 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の大規模豪雨は甚大な被害をもたらしており、日々の気象観測とそれに基づく予測・対策が不可欠である。気象予測には天候変化を日常的かつ広範囲に把握する必要があり、気象庁では降雨レーダーなど設置型観測機器で1km平方メッシュの予報を行っているが機器拡充には限界がある。本研究では移動体によるクラウドソーシング型の新しい気象現況把握の方法を構築する。既存のクラウドソーシング型気象情報収集には、株式会社ウェザーニューズによるサポーター制度があるが、人手のため情報収集の平準化および効率化が求められている。研究ではドライブレコーダー画像を活用した気象現況の自動収集システムの技術開発を行う。
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研究実績の概要 |
ウェザーニューズのウェザーリポートでは、空の写真と体感的な降雨強度情報を組み合わせたユーザーからのリポートを集約し天気予報の精度向上を図っている。本研究では、車載カメラから得られる画像を用い、リアルタイムで降雨強度や雲の種類を自動的に判定し、リポートするシステムの開発を目指している。 初年度の研究では、レーダー観測雨量と定点カメラの画像を組み合わせたデータセットを作成し、雲の降雨強度レベルの分類モデルをEfficientNetとAlexNetで構築した。構築モデルによる多値分類手法と降雨の有無判定を前処理とした2段階判定法を比較し、予測精度の検証を行った。EfficientNetを用いた回帰モデルよりも、AlexNetを活用した2段階アプローチが降雨強度レベルの分類において優れた精度を得た。さらに、Grad-CAMの注視点分析により、モデルが降雨強度を判断する根拠を明らかにし、判断根拠の妥当性を確認した。また、ゲリラ豪雨の予兆となる積乱雲及び乱層雲とその他の雲を分類するモデルを構築し70%を超える精度を達成した。成果は3件の学会発表で公表している。 これらの成果は、車載カメラ画像を利用して気象観測の空間的密度を向上させることが可能となり、その結果、将来的には気象予報精度の向上やゲリラ豪雨など予測が困難な突発的な天候変化に迅速に対応することが期待できる。 これらの成果を踏まえ、2024年度には、セマンティックセグメンテーションの技術を付加した改善モデルに関する研究と時系列予測モデルへの拡張による短期の降雨予測可能性についての研究を中心に展開し技術の高度化を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ドライブレコーダー画像を用いた気象現況情報の自動収集システム構築に必開発技術を、1)大量の画像データの中から気象観測データとして価値の高いものを選択するレーティング技術の開発、と2)選択された画像に対して必要かつ適切なアノテーションを付与するレポーティング技術の開発に大別して段階的に取り組んでいる。1)に関しては、セマンティックセグメンテーション技術を用いて画像の空領域割合が20%以上となる画像がレポートに適切であることを示した。また、clear,overcast,rainyの単純な分類問題は実用上問題のない高い精度で分類が可能であることを示した。よって課題1)を完了した。課題2について、雲形分類による降雨をもたらす雲のアノテーション、降雨強度の分類問題としての解法モデルを畳み込みニューラルネットにより構築し、その精度評価と特徴量の分析による判断根拠の確認作業を行い、成果公表を通して専門の研究者からフィードバックを得ながら開発を進めている。 進捗は概ね当初の計画通り進んでおり、現在は課題2に対して、降雨強度を回帰問題として解くためのモデルの高度化、雲形分類モデルにマスク処理を組み込むことによる精度向上に取り組んでいる。 また、研究を進める上で新たに発生した夜間の降雨に関するレポーティングの可能性についても、データセットを構築しモデルの学習実験準備を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、主に課題2)のドライブレコーダー画像に対するアノテーション技術の高度化に関して、降雨強度推定モデルの性能向上に関する研究及び天候変化の時系列性を加味した短時間内での降雨開始を推定するアノテーションモデルの開発への課題を発展させて研究を進める。現在、関係論文のサーベイを終えており、モデル設計を始める予定である。 研究計画の変更は無く、研究を遂行する上での課題等は発生していない。
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