研究課題/領域番号 |
23K11254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
半田 久志 近畿大学, 情報学部, 教授 (60304333)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 機械学習 / 進化計算 / ケムインフォマティクス / Evolutionary Algorithms / Machine Learning / QDF / Molecular Design |
研究開始時の研究の概要 |
有機薄膜太陽電池の分子構造の探索を行う.グラフの探索となり構成原子が限られていても膨大な探索空間となる。進化計算と機械学習手法(グラフカーネル,Quantum Deep Field(フロンティア軌道理論と深層学習の融合手法),モンテカルロツリーサーチ)を組み合わせることにより効率的な探索手法を実現する。 Quantum Deep Fieldは,従来の量子化学シミュレータより圧倒的に計算速度が速く,かつ, 深層学習単体で分子の電気的特性を予測するよりも精度が高い。 Quantum Deep Fieldにより,比較的大きい分子である有機薄膜太陽電池の構造探索でも,進化的探索が可能となる。
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研究実績の概要 |
有機薄膜太陽電池は,シリコンなどのレアアースを用いない有機化合物で構成された太陽電池である.現在主流の太陽電池と比べて,電気の変換効率は落ちてしまうが,軽量で曲げたりすることができる特性を有する.また,ガラスに蒸着させるだけでも起電できるので,オフィスビルの窓ガラスでの発電など,従来の太陽電池との棲み分けができることから期待されている太陽電池である.2020年にTubakiらによって発表されたQuantum Deep Fieldという手法 は,フロンティア軌道理論と深層学習を組み合わせた画期的な化合物の物性の近似手法である.物性として光の吸収量推定に必要な分子の振動子強度をQuantum DeepFieldに予測させると,数秒の計算時間で予測できる.このQDFと機械学習手法を融合して系統的な探索を実現するのが本研究の目的である。本年度はモンテカルロツリーサーチを用いて、既存の高性能な有機薄膜太陽電池であるY6の部分構造を置きかる手法について、学会発表をおこなった。また、部分化合物を組み合わせる手法として、進化型多目的最適化を用いて合成のしやすさも考慮した、アプローチにも着手した。これらの手法では、先のQDFを解の評価に用いており、伝統的な量子化学シミュレータであるGaussianを用いてはできなかった探索を実現している。また、モンテカルロツリーサーチにおいてRNNが用いられていたが、これをBERTベースのアルゴリズム置き換える研究に着手した。また、SELFIESというSMILESとは別の分子表現方法にも着目しており、これのモンテカルロツリーサーチでの性能を検討していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文化が少し遅れている印象はあるが、研究の主題であるモンテカルロツリーサーチとによる部分化合物の開発手法と進化型多目的最適化による部分化合物の組み合わせの両輪については、順調に進んでおり、上記の評価となった。前者については、BERTベースの元素の提案に見通しがつきつつあり、安定した探索が実現できることが期待される。QDFの精度向上について、学習データの見直しをおこなっている。これはQM8やQM7より大きいサイズの分子を学習させることにより、ターゲットとしている化合物の光吸収量の予測精度向上に役立つと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
有機薄膜太陽電池と同様の性質を持つ蛍光素材の開発を進めることを考えている。一般に、有機薄膜太陽電池より分子サイズが小さいので、探索時間が減少すること、また、QDF並びにGaussianで解の性能が良かった際に、実際に合成して検証する際に合成のしやすさが見込めることによる。方法論が確立すれば、そのまま有機薄膜太陽電池にその結果を反映させることができるので、研究の効率化が見込める。
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