研究課題/領域番号 |
23K11257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 理幸 北海道大学, 大学病院, 助教 (90443944)
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研究分担者 |
野田 航介 北海道大学, 医学研究院, 客員教授 (90296666)
水田 正弘 統計数理研究所, 大学統計教員育成センター, 特任教授 (70174026)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 眼底画像 / 深層学習 / 動脈硬化 / Attention |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、深層学習のセマンティックセグメンテーション技術を用いて眼底画像から網膜血管を正確に同定した画像を生成して、その情報を利用することによって動脈硬化による網膜血管の変化を判定する臨床応用に耐えうる新しい「全自動動脈硬化スクリーニングシステム」を確立することである。 本研究においては、①最初に我々が用いている網膜動静脈抽出画像自動生成プログラムを改良し精度を向上させる、②次にそのプログラムによって生成された網膜動静脈抽出画像を用いて眼底画像と動脈硬化関連因子の関連を明らかにし、③AIを用いた動脈硬化評価システムの構築を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、深層学習のセマンティックセグメンテーション技術を用いて眼底画像から網膜血管を正確に同定した画像を生成して、その情報を利用することによって動脈硬化による網膜血管の変化を判定する臨床応用に耐えうる新しい「全自動動脈硬化スクリーニングシステム」を確立することである。 我々は、眼底画像上の網膜血管の解析を行う研究に対して2018年から深層学習によるセマンティックセグメンテーションの技術を導入した。本技術は、既存の報告と比べても高い網膜血管識別精度を誇り、本ニューラルネットワークにより検出した網膜血管認識の感度は0.83、特異度は0.99、精度は0.98、網膜動静脈を正答に判別する血管識別の精度は0.99であり、既報と比べて高い精度を示した。 こうして得られた動静脈抽出画像から動脈面積(artery area: AA)、静脈面積(vein area: VA)の指標[特許申請中]を作成し、年齢・血圧・血圧脈波速度との相関を見出し報告した。これらの結果から、年齢はVAの方がAAよりも強い相関(R=-0.54 vs -0.32)を示し、血圧はAAの方がVAよりも強い相関(SBP: R=-0.29 vs -0.25, DBP: R=-0.26 vs -0.22)を示すことが示された。さらに、血圧脈波速度との関係では特にAAにおいてR=-0.40と年齢・血圧よりも高い相関を示し、このことはAAが単純に年齢と血圧による変動を示すだけでなく動脈硬化の状態を反映している指標であることが示された。 さらに、我々は網膜血管情報をattentionとして眼底画像に負荷することによって網膜血管に重点を置いてAIに画像を解析させる手法を用いて、画像そのものを解析させるよりも眼底画像から血圧脈波伝播速度をより高い精度で予測させることに成功した(R=0.7137)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、本研究資金により深層学習に必要な機材であるグラフィックスカード(NVIDIA RTXA6000)を2機導入した。本機材は、多量のGPUメモリー(一機につき48Gバイト)を搭載している。これは、我々の研究室で従来使用していた機材と比べ一機当たり約6倍の計算量を持つことになる。それによって、より複雑で大規模なneural networkを構成することが可能であり、また同じneural networkを使用した場合、一度により多く(12倍)の教師データを学習させることが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究結果をもとに、研究計画に従ってより高精細な画像による解析を行う。 現在我々が行っていた手法は、計算資源量の限界から2976×2796画素の眼底画像を744×744画素に縮小して行っていた。セマンティックセグメンテーションおよびその後の解析の精度を向上させるためには、より高解像度の画像を用いて学習を行う必要があり、そのために新に導入したグラフィックスカードおよびワークステーション使用して解析を行う。 また、現在、当院循環器内科および糖尿病内科との共同研究にて当該疾患患者の眼底画像のデータベースを作成中である。健診データで不足している内科疾患を有する患者をデータベースに加えて、解析の精度を向上させるとともに、本動脈硬化スクリーニングシステムの有用性を検証する。
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