研究課題/領域番号 |
23K11270
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61050:知能ロボティクス関連
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
田中 完爾 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (30325899)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | SLAM / ポーズグラフSLAM / グラフ機械学習 / 知識集約 / 視覚場所認識 / グラフカット / シーングラフ / 地図 / graph neural network / knowledge distillation / deep learning |
研究開始時の研究の概要 |
SLAM技術の進展により、移動ロボットが大規模な作業環境の精密地図を生成することが可能になってきた。その一方で、大規模地図の利用に係る計算コストが増大し、新たな課題となっている。本研究は、精密地図の知識を、軽量地図へ集約する、新しい精密・軽量なSLAM技術を実現することを目的とする。具体的に、申請者が研究開発を行ってきたグラフ深層構造に基づく新しい情景モデル「グラフニューラル地図」を利活用する。
|
研究実績の概要 |
グラフ機械学習とグラフSLAMを一つに集約する新しいSLAM技術「グラフニューラルSLAM」の実現に向けて、主に、基礎的な研究開発を行った。(1)ポーズグラフSLAM問題において、グラフ誤りに対する堅牢性を向上させるために、最先端のグラフカット技術を利用する、新しいグラフSLAM技術を開発した。(2)視覚場所認識(VPR)において、シーングラフは、外観、空間、セマンティクスを含むさまざまな種類の視覚コンテンツ間の関係など、シーン内の複雑なコンテキストを記述できる豊富なシーンモデルである。しかしながら、効率的なシーングラフ分類器をトレーニングするのは簡単ではない。既存のアプローチは通常、クエリとデータベースグラフ間の徹底的なマッチングに依存しており、大規模なVPR問題には拡張できない。我々は、グラフデータの効率的で識別的な分類器としてのグラフ畳み込みニューラルネットワーク(GCN)の最近の開発に動機付けられており、シーングラフ分類器としてのGCNの可能性を探ることを目的として研究をおこなった。(3)最先端の自己位置推定モデルにおける典型的な仮定は、対象ワークスペースに注釈付きトレーニングデータセットが利用可能であるということである。ただし、ロボットが一般的なオープンワールドを移動する場合は、必ずしもそうとは限らない。この研究では、オープンワールド分散ロボットシステム用の新しい訓練スキームを研究開発した。このスキームでは、ロボット(「生徒」)は、なじみのない場所で出会った他のロボット(「教師」)に指導を求めることができる。特に、今回の科研課題で焦点を当てている、グラフ機械学習(生徒)とグラフSLAM(教師)の間の知識転送へ応用し、基本的な有効性を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、グラフSLAMとグラフ機械学習を一つに集約する新しいSLAM技術「グラフニューラルSLAM」を開発することを目的としている。今年度予定していた主要モジュール「グラフSLAM」「グラフ機械学習」の性能向上を実現し、さらに、両者を融合する知識集約技術について基礎的な性能検証をおこなうことができた。ただし、探索の初期段階においては、グラフ機械学習のための学習データが不十分であることがよくあり、十分な性能が得られないことが多かった。この問題に対して、大規模言語モデル(LLM)に基づくゼロショット手法を導入することで、部分的に解決を行う方法を実現した。そこで、今後は、グラフ機械学習とゼロショット手法の融合についても研究を推進していきたい。ただし、両手法とも、熟練した人間がコーディングした手法よりも性能が劣ることがよく観察された。そこで、この第三の手法を含む、3つの手法をうまく組み合わせる方法を検討する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
グラフニューラルSLAMを発展させて、様々な実用的なタスクにおいて性能検証をおこなっていく。この方向に向けて、すでに、物体目標ナビゲーションなどの主要なナビゲーションタスクにおける検証を行い、国際会議において発表を行った。
|