研究課題/領域番号 |
23K11272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61050:知能ロボティクス関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
木村 浩 京都工芸繊維大学, その他部局等, 教授 (40192562)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | gait transition / spinal cord model / sensorimotor functions / upper center command / rhythm generator / pattern formation / output motor stage / spatiotemporal pattern / 歩容遷移 / 四脚動物 / 感覚-運動機能 / 脊髄 / ロボット |
研究開始時の研究の概要 |
感覚フィードバックに関する神経生理学的知見に基づいた「ロコモーション制御と歩容生成・遷移のための脊髄ネコモデル」を構成し,力学シミュレーションとベルト速度可変・トレッドミル上での四脚ロボット実験によりモデルの妥当性を検証する.そして,四脚動物の移動速度に応じた歩容遷移を感覚-運動機能レベルでの物理的メカニズムとして構成論的に理解することを目指す.
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研究実績の概要 |
除脳ネコを用いたロコモーション実験により,四脚動物のリズム(周波数とデューティ比),脚間位相差,着地・離地時の脚先位置などの指標で表される歩容は,主に脊髄にある神経回路により生成されると信じられている.本研究は一般的に考えられている自己発振・神経回路ではなく,脊髄・感覚運動機能が胴体の自励振動を誘発することでリズムを生成しているとの仮説をたて,まず最初に力学シミュレーションにより,脊髄ネコのトレッドミル上後2脚ロコモーションの再現を試みる.構成した脊髄・神経回路モデルはリズム発生器(RG),パターン形成器(PF),運動出力器(OMS)から構成される.移動速度上昇時にRG間には興奮性相互作用が働く.さらにベルト駆動ロコモーションでは,PFは計測される脚先速度から脚の運動をベルト速度に適応させ,跳躍からの着地時にOMSにおいてキック反射が発生する.胴体を持つ後2脚ロボット・モデルを構成しシミュレーションした結果,脊髄ネコと同様にベルト速度上昇時に,逆位相歩行,逆位相走行,同位相走行が順次現れ,リズムと左右脚間位相差が自律的かつ同時的に創発した. 次に床面上での後2脚ロボットの自己推進をシミュレーションした.ここで,上位中枢が直接指令すべきはリズムと脚間位相差ではなく,推進力すなわち移動速度である(Orlovsky et a. 1999).指令強度の増加に伴いPFは,脚先速度上昇により推進力を発生し,胴体ピッチ運動安定化のために上方キックを増強する.結果として,トレッドミル上ベルト駆動ロコモーションと同様な移動速度上昇に伴うリズムと左右脚間位相差の自律遷移が,床面上自己推進ロコモーションでも創発した. 結果として,RGにとってベルト駆動ロコモーションと自己推進ロコモーションに違いはなく,RGは常に現在の移動速度に対して適切なリズムと脚間位相差を生成できることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
後2脚ロボットを用いた力学シミュレーションにより,リズム発生器(RG)にとってベルト駆動ロコモーションと自己推進ロコモーションに違いはなく,RGは常に現在の移動速度に対して適切なリズムと脚間位相差を感覚情報を用いて生成できること,すなわち,RGは上位指令から独立していることが示された.これは従来の神経生理学やそれに基づくニューロ・メカニクス研究の常識を覆す重要な知見であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
4脚ロボット・モデルの床面上自己推進ロコモーションにおいて,上位指令による移動速度上昇に伴う,歩行時のpaceからwalkを経てtrotへの自律遷移,および,走行時のtrotからboundへの自律遷移をシミュレーションする.そのためには,左右脚間協調だけではなく前後脚間協調について,深く考える必要がある.その際に,除脳ネコの前後スプリットベルト・トレッドミル上ロコモーション実験(Pearson et al. 2006)で得られた知見等を参考にする.
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