研究課題/領域番号 |
23K11273
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61050:知能ロボティクス関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
横小路 泰義 神戸大学, 工学研究科, 教授 (30202394)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ロボットハンド / ピッキング / 把持動作計画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,物流分野での汎用ロボットハンドを開発するために,まず物流分野でのピッキング作業のベンチマークとなる有限個の対象物セットを定めると同時に,そのセットの中の対象物体すべてを把持可能な汎用ハンドを設計・製作する.さらに,選定された対象物セットに対する把持動作をパラメトリック表現し,それらをベースに様々な対象物体に対して適切な把持動作を自動生成する枠組みを構築する.また,画像認識システムと統合して,様々な対象物を自動で認識して把持できるシステムを構築する.
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研究実績の概要 |
物流分野で扱うべき商品の種類は,規模にもよるが数千から数万種に及び,品目は日々変化しているため,特にピッキング作業はロボットによる自動化が難しく,他の作業の自動化が進む中で未だに人手に頼っているのが現状である.そこで本研究では,物流分野で扱う様々な商品のピッキングが可能な汎用ロボットハンドを開発することを目的とする.
先行開発してきた汎用ロボットハンド(KobeHand)によって,既に20品目の対象物の把持には成功しているが,把持動作はマニュアル操作で生成されていた.今年度は,これらの把持動作を自動で生成できるようした.この過程で,特に動作が複雑な「すくい」動作に対しては,自動生成のための動作のパラメータ化に向けて詳細に検討した.まず「すくい」動作を,指先をそのまま物体底面に差し込める場合と,物体端面を少し持ち上げてから差し込む場合の2通りに分類し,これらの「すくい」動作を必要とする対象物として「CDケース」を新たに追加し,代わりに「つまみ」動作で重複のあった「チョコレート菓子箱」を削除した.
また,2通りの「すくい」動作のうち前者に関しては,力のつり合い条件から「すくい」が可能な条件を数理的に明らかにし,それを把持動作計画に活かすとともに,その条件に基づいてハンド機構の設計変更を行った.また後者に関しては,人による「すくい」動作を詳細に観察し,端面持ち上げ時には指先には高い摩擦力が必要な反面,底面への差し込み時には摩擦力は却って障害になることから,指先形状の変更と指先の姿勢を含む軌道を再考するとともに,設計変更によって指先関節の動作範囲を拡大した.以上の検討と設計変更の結果,KobeHandによって新たに追加したCDケースを含む20品目すべての対象物の把持動作を計算機により生成させて,安定的に自動で把持できるようした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り,20品目の対象物のKobeHandによる把持動作を自動生成できたので,研究は順調に進展している.また「すくい」が可能な条件を数理的に明らかにした点については,既存研究では考慮されていなかった床面と対象物間の摩擦条件を考慮することで,実際の実験結果により符合する条件とするとともに,既存研究では対象外であった変形する物体にも対応できるよう理論拡張しており,こちらも実際の実験結果と良く符合することが確かめられている.この成果は学会でも口頭発表した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,スーパーマーケット等で扱われている食品・日用雑貨のうち,人が片手で把持可能なものを対象に,まずできるだけ網羅的に対象物をリストアップし,サイズ,重量,摩擦や柔軟性などの物理特性を整理し,昨年度の把持動作軌道の自動生成の成果を基に,リストアップした対象物を整理・クラス分けし,これら多数の対象物を代表する対象物セットの有限個の要素候補の選定を試みる.そしてそのような対象物セットの候補をすべて把持できる汎用ハンドをKobeHandの知見を基にして新規に設計・試作する予定である.
またこれと並行して,オープンソースのライブラリを利用した機械学習による画像ベースの物体認識システムを導入し,ハンドシステムと統合して,対象物の種類と位置を認識した後に,適切な把持動作を生成してその対象物を自動的にピッキングできるような認識把持システムの構築を進める予定である.
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