研究課題/領域番号 |
23K11286
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
續木 大介 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (50646346)
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研究分担者 |
蔡 東生 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70202075)
早野 慎吾 都留文科大学, 文学部, 教授 (90381053)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 文楽 / 人形浄瑠璃 / 感性 / スマートホーム / AI ロボット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ヒトがロボットに対して肯定的感情を持ち、違和感のない共生の実現を牽引するための新しいファクターを導出し、さらにロボットで実装することを目的として、人形浄瑠璃の人形の動作ならびに義太夫節の音声の解析を行う。より具体的には、人形浄瑠璃文楽を対象として、文楽を文楽たらしめるユニークかつ重要な構成要素である、操られる人形そのものの動作、および太夫の吟誦する義太夫節に焦点を当て、それらのマルチモーダルな情報の中に含まれる、人形浄瑠璃に特有のリズムと抑揚の特徴を抽出する。最終的には、より良いヒトとロボットとの共生に向けて、解析によって得られた知見の、AI ロボットへの実装を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、文楽特有の義太夫・三味線・人形遣いによる三位一体の感情表現を定量的に分析し、文楽ならではの動作を AI ロボットに導入することによって、スマートホームなどで用いられる AI ロボットとヒトとのインタラクションに改善と革新をもたらすことである。 文楽における人形は、それが無機物でありながらも、文楽の語りを担う太夫の吟誦に合わせた叙情的な演技所作により、強い感情移入を観客に齎すという点が特にユニークとされている。また、文楽人形の独特な形態的構造に合わせて、日本の伝統芸能の基本理念である、緩急を織り交ぜた「序破急」の概念が盛り込まれている点が、オリエンタルな舞台構成につながっていると考えられる。さらに文楽では、語りを伴う義太夫節に同期した特殊な曲線動作を人形に乗せることによって、他の媒体では実現し得ない強い感情表現を実現させている。従来のロボット工学では、歩行や物体のハンドリングなどの機能性を重視した構造が求められてきたが、本研究において重要となる文楽特有の感情表現を実現するためには、文楽人形のカラクリの構造と、太夫の序破急原理に基づいたロボットデザイン法を、新たに考慮する必要があると考えられる。 2023 年度は、主にロボットによる感情表現を実現するためのアルゴリズムに関するミーティングや、ロボット製作におけるハードウェア面での整備などを行うに留まったため、現時点では、まだ新たな成果の発表に至っていない。2024 年度以降には、デザインを取り扱う学術集会での発表や、感性情報に関する学術論文の投稿を予定しており、アウトプットに努める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023 年度の研究活動としては、新たに著名な人形遣いの動作を記録するとともに、人形遣いへのインタビューを行うことによって、人形遣いが人形を操作する際に、意識下および無意識下に行っている動作についての考察を深めた。また、共同研究者とのミーティングにおいて、近年のパフォーマンス重視のロボット工学では扱われる機会のなかった、文楽ならではの予備動作や間の取り方を、定量的に記述する方法などについて、議論を行った。また、文楽人形の動作を再現させるロボットを安全に操作するために必要となる、安全スイッチ装置を製作した。まだ、現時点では本研究で得られた成果の発表に至っていないため、「やや遅れている。」という自己評価を下した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、文楽における義太夫・三味線・人形遣いによる三位一体の感情表現を AI ロボットの動作に導入し、スマートホームなどを想定した環境において、AI ロボットとヒトとのインタラクションを改善させることを最終的な目的としている。本研究課題においては、文楽人形ならではの予備動作や間の取り方をロボットの動作に持ち込むことによって、より、ヒトの写し身としての人形が自然な振る舞いを見せるような工夫を凝らすことが、最も重要な点であると考えている。2024 年度以降は、従来の処理速度やパフォーマンスを重視する一般的なロボット工学とは視点を変えた分析とアプローチを行うことによって、本研究課題を推進していこうと考えている。
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