研究課題/領域番号 |
23K11360
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
|
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
片岡 真吾 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (30965398)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 身体性インタラクション / アバター / エージェント / コミュニケーション教育 / OSCE / ルールベースチャットボット |
研究開始時の研究の概要 |
医療従事者には様々な知識と技術が求められるが,近年では特にコミュニケーション能力が重要視されている.しかし,業種によって求められる技術が異なることから,教育体系も業種によって異なる.特に臨床工学技士は,養成校にコミュニケーション能力を醸成するための統一化されたカリキュラムが存在しない.そのため,まずは臨床工学技士を目指す学生向けに,専門的な知識と技術が必要なコミュニケーション技術の習得を手軽に仮想空間の中で行うことで適切なコミュニケーション技術を学ぶシステムの構築を目指す.
|
研究実績の概要 |
本研究では医療従事者の1つである臨床工学技士を目指す学生に対して,仮想空間を用いて手軽にコミュニケーション技術を学ぶことができるシステムの構築を目指す.近年医師の働き方改革により,タスクシェア・シフトという形で様々な医療従事者が行うことができる業務が拡大している.臨床工学技士もその一つであり,業務の拡大に伴ってカリキュラムが改訂され,2023年度から入学する学生に用いられている.しかし,コミュニケーション能力を醸成するための体系的なものはなく,それぞれの養成校次第という現状がある. 2023年度ではその現状に対し,仮想空間の中に決められた会話内容を登録し,音声を用いた会話ができるエージェントとユーザーの身体動作を取り込むことができるアバターを配置したシステムのプロトタイプの開発を行った.エージェントは臨床工学技士が携わる業務として最も多い血液浄化療法のうち,維持血液透析患者を想定し,応答については医学生などに用いられるOSCEで運用される標準模擬患者をモデルとした.アバターはユーザーの身体動作をトラッキングによって取り込むことができ,三人称視点で運用することで自身の振る舞いを内省することができる.このシステムは学生が自宅など学校外でも練習できるものを想定している.そのため必要なものはトラッキングを行うためのカメラとインターネット環境のみであり,身体に装着するセンサー等は必要ない.開発にあたり文献などの調査を行い,シナリオの構築や受け答え,より違和感のない仮想空間を検討した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では2023年度上旬にシステムのプロトタイプを開発し,その後学生に対して実験等を行うとしていた.システムのプロトタイプ自体は2023年度時点でほぼ完成しているが,試運転および予備実験において患者を模したエージェントの課題が明らかとなり,その改修を行っている.そのため,予定していた学生に対する実験が行えていない.以上の理由より,「やや遅れている」と判断した.一方で2023年度の予定にはなかったシステム内の会話内容や会話時間など,様々な情報を取得できる機能を付加することができた.
|
今後の研究の推進方策 |
進捗状況がやや遅れていることを踏まえ,2024年度は以下のように計画を遂行する. (1)所属施設の倫理審査を申請し,臨床実習に臨む直前の学生に対しての実験を行う OSCEは本来臨床実習の直前に行われるものであるため,本システムも同様の条件での実験を目指す.なお,この実験に先立って現在エージェントのモデルとした標準模擬患者についての調査を行う予定であり,調査結果をフィードバックすることでより教材として有効なエージェントの開発が可能と考えられる.(2)実験データの分析を行い,明らかとなった新たな知見を学会・論文で発表する.アンケートによる主観的評価だけでなく,2023年度の予定にはなかったシステム側の情報を新しく取得できる機能を用いた客観的データの分析も行う.(3)フィードバックによる新たな機能の追加学生からの意見を尊重し,より教材としてふさわしい機能を追加する.また,ヘッドマウントディスプレイを用いたシステムの実用化を目指すために並行して開発を行う.
|