研究課題/領域番号 |
23K11367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平嶋 宗 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10238355)
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研究分担者 |
堀口 知也 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (00294257)
林 雄介 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (70362019)
前田 一誠 環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (90757634)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 算数文章題 / 情報不備 / 情報完備 / 二重三角図 / 作問学習 / 完備化 |
研究開始時の研究の概要 |
算数・数学における文章題は,言語的情報を算数的・数学的計算によって処理できるように定式化する課題である.この文章題を情報不備化すると,不備の検出と完備化が必要となり,学習者は個々の情報に対する精密な吟味なしに問題を解くことはできなくなる.さらに,情報の完備化を行うことは,創造的な思考を促すことになるとされる.このように従来より情報不備課題が算数・数学の文章題をより高度な思考課題化することは知られているが,完備化の多様性とそれに伴う解の多様性により,インタラクティブな演習としての実現は行われていなかった.この算数・数学の文章題の情報不備課題のインタラクティブな演習化を実現するものである.
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研究実績の概要 |
本研究では,算数文章題に対する学習者のより深い理解を促すために,学習者自身が文章題に含まれている情報を明示的・操作的に吟味することが必要となる課題の設計・開発と,その評価を試みるものである.たとえば「筆箱1個に鉛筆が5本入っています.筆箱が3個あります.筆箱1個の値段はいくらですか(不備問題)」といった問題に対して,5×3=15という答えが現れやすいことが知られている.問題に与えられている情報から,5×3=15を実行可能であるが,これは鉛筆の本数を求めるものであり,筆箱1個の値段を求めているわけではない.一般に学習者が取り組む問題は,必要十分は情報で構成されているため,情報の吟味が十分なされないことが多い.前述のような問題に対して学習者が情報を吟味し,必要な情報が欠落していることの検出と,所与の情報として「筆箱3個の値段」を追加する,あるいは,求答の情報を「鉛筆全部の本数」に置き換える,といった問題を解けるように変更する操作(完備化)を学習者に課題化することが本研究の目指すところである.このような算数文章題に対する情報の操作(欠落,補完,変更)を定式化するために,算数文章題が1回の演算で解ける単位問題の連結として構成されていることに着目し,個々の単位問題を構成する三つの量(二つの存在量と一つの関係量で構成される)の関係を図式化した二重三角図を提案し,この利用可能性について調査を進めている.現時点で,この二重三角図が,文章題を構成する量間の関係理解に貢献すること,小学校での利用の試みを通して,5年生であれば利用可能であることが分かっている.これらの調査結果については,一部をすでに学会発表しており,さらに,追加の学会発表も予定している.これらの結果を踏まえたシステム化を今後行っていく予定となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究におけるシステム開発のベースとしての二重三角図に関し手の調査を進めているが,結果は良好であり,システム開発を進めるうえでの十分なデータがそろいつつある.また,調査を行った教育現場において開発したシステムの試験的利用が行える予定になっている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度においては,ベースとなるモデルの提案とその利用可能性についての調査を行い,良好な結果を得ている.次年度の前半においては,今年度の結果を踏まえたより詳細な授業設計を行ったうえでのモデルの実践利用を予定している.次年度の後半においては,この結果を踏まえたシステムの設計・開発を行う.このシステムの設計・開発は,授業実践の内容に沿いつつ,定量的なデータの取得と個別対応,および授業時間外対応を可能にするツールとして教授者および学習者に提供されるものとする予定である.次年度末において,複数の教授者による評価実験を予定している.最終年度においては,このシステムを用いた授業実践を複数名の教授者に行ってもらう予定である.すでに今年度において授業実践に協力していただいた教授者に利用する予定はできているが,さらに次年度の授業実践を公開・報告することで,さらに複数の協力者を教育現場において募り,最終年度においては,複数の教授者による実践利用を通した評価を目指す予定となっている.
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