研究課題/領域番号 |
23K11372
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
石川 達也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70408467)
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研究分担者 |
吉光 喜太郎 東京女子医科大学, 医学部, 特任講師 (00551326)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | digital bible / endovascular surgery / coil embolization / strategy desk / simulation system / cerebral aneurysm / smart operating room / cerebrovascular / 脳血管内治療 / デジタルバイブル / スマート治療室 / 脳動脈瘤 / 学習支援システム |
研究開始時の研究の概要 |
脳血管内治療におけるデバイスの選択は、術者の好み、思い入れや思い込み、または組織的な慣習などにより決定され、個々の症例に対して最適な治療手段が選択されていると言えない。 本研究では治療のデバイス選択に個人の経験や好みに関わらず、多種のデバイス・治療方法の中から個々の症例に最適なデバイスの選択および治療方法を客観的に提示し、効率的に若手医師の技術向上を実現する仕組みを構築する。 この仕組みは複数の経験豊富な術者の判断を蓄積し解析するため、治療のデバイス選択や治療方法における客観性を持った「最適治療のデジタルバイブル」となる。本研究によって無駄なく効率的に熟達するための育成システムの実現を目指す。
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研究実績の概要 |
脳血管内治療の術者教育が困難な点は様々なデバイスに対する知識と、その選択に多くの時間と経験を要する点である。本研究ではこのデバイス選択と治療方法を選択する意思決定フローに対し、エキスパートの医師が手術で用いた器材情報や治療結果、画像データと実際の治療データを蓄積し解析することで科学的客観性を持った「最適治療のデジタルバイブル」の創出を目指す。これによりエキスパートがいない環境や夜間時間帯で経験の少ない術者しかいない場合でも多くの施設で高水準の血管内治療が実施できることに加え、治療予後の良化、およびより安全で確実な治療が遂行されることが期待できる。 本年度は実施項目1で必要となるコイルの形状・サイズ・柔軟性やカテーテルのサイズ・先端形状加工などの記録を行うためのシステム(アプリ)構築や、実施項目2で最終完成を目指す「最適治療のバイブルアプリケーション」の基盤となるシステム構築にエフォートを割く方針とした。まず、アプリとしては、治療の記録を動画とともに音声で残すシステムや使用したコイルの詳細をバーコードで記録するシステム、塞栓率を自動的に計算するシステムなどを開発を行い、試用を開始した。また、バイブルアプリケーションの基幹システムとしてOpePark社のOpeLinkシステムを選定し、今回開発した音声アプリシステムやバーコードシステムのアプリがOpeLink上で作動することを確認した。 本年度は、環境整備およびシステム開発を優先させた。開発に置いては、既存のシステム等を仮流用してトライアルを行ったため、当初想定していた研究経費は次年度以降へ持ち越しとし、本年度は少額の必要経費のみ申請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の実施項目は、「最適治療のデジタルバイブル」の創出のための元データとするための「症例に対するデバイス、および治療方法のアンケート調査」を主体としていた。予定では、本学脳神経外科が有する手術データベースから未破裂脳動脈瘤の症例データを無作為抽出により100例抽出し、当該症例に対し術前計画立案を想定し、使用するコイル(形状・サイズ・柔軟性)、カテーテル(サイズ、先端形状追加工の有無)の選定と選定根拠、および治療方法(レントゲン使用のタイミング是正、使用デバイスやコイルの選択是正)について血管内治療専門医4人にアンケート調査研究を実施する予定としていた。 しかしながら、コロナ禍により、アンケート対象の血管内治療専門医との密なコミュニケーションが困難であることが想定されたため、本年度は実施項目1で必要となるコイルの形状・サイズ・柔軟性やカテーテルのサイズ・先端形状加工などの記録を行うためのシステム(アプリ)構築や、実施項目2で最終完成を目指す「最適治療のバイブルアプリケーション」の基盤となるシステム構築にエフォートを割く方針とした。 本年度は、様々な制約により、アンケート調査自体は行わず、環境整備およびシステム開発を優先させた。結果として、デジタルバイブル構築のためのアプリケーション作成等は順調に行うことができた。大幅な遅れではないが、当初想定していたアンケートを主体としてシステム開発は行えておらず、次年度以降に実施する方針とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実施項目は、「最適治療のデジタルバイブル」の創出のための元データとするための「症例に対するデバイス、および治療方法のアンケート調査」が想定よりも実施困難な社会情勢であった。一方で、実施項目1で必要となるコイルの形状・サイズ・柔軟性やカテーテルのサイズ・先端形状加工などの記録を行うためのシステム(アプリ)構築や、実施項目2で最終完成を目指す「最適治療のバイブルアプリケーション」の基盤となるシステムは想定以上に構築することができた。そこで、デジタルバイブルを作成するための基盤システム構築を優先する方針とし、次年度もシステム構築を継続する方策を検討している。さらに、それらのシステムを遠隔でも使用できるシステムを導入することを想定している。遠隔使用には5Gの活用を検討している。 また、次年度は構築したシステムに、アンケートの結果を想定した仮データを導入して、症例に対して最適治療法と最適治療デバイスを導き出すことができる「最適治療のバイブルアプリケーション」を試作しすることを目指す。 仮データでシステムを運用できる状態になった後に、未破裂脳動脈瘤の症例100例に対し、本学脳神経外科所属の血管内治療専門医4人にアンケート調査を実施し、個々の症例に対するデバイスと治療方法の相関関係をまとめ、最適治療バイブルに登録し最適治療法を蓄積することランダムに提示された症例に対して必要なデバイスと治療方法を自動的に導き出す「最適治療のバイブルアプリケーション」の完成を目指す。
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