研究課題/領域番号 |
23K11392
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
坂田 有紀子 (別宮有紀子) 都留文科大学, 教養学部, 教授 (20326094)
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研究分担者 |
坂田 剛 北里大学, 一般教育部, 准教授 (60205747)
石田 厚 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (60343787)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 根の呼吸速度 / 蒸散速度 / 日中変動 / 暖温帯性樹木 / 亜熱帯性樹木 / 道管流 / 貯水機能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、植物根の呼吸速度が日中に急激に低下する“根の呼吸の日中低下現象”のメカニズムを明らかにするために、野外測定と室内実験により、根の呼吸速度と、葉の蒸散速度や道管流速度、植物体の水分状態との関係を明らかにする。野外測定は、葉の光合成・蒸散特性が大きく異なると予想される小笠原諸島父島の亜熱帯性低木種と、富士山の亜寒帯植物種を対象におこない、野外において根の呼吸速度がどのような挙動を示しているのかを観測する。室内実験では、これらの植物種の実生の地上部の環境を操作することにより、根の呼吸速度の律速要因を明らかにし、植物群落レベルでの樹木の根の呼吸速度を推定する新たなモデル式の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまで、暖温帯林および亜熱帯林を構成する主要樹種を対象として、それらの葉の光合成・蒸散速度と、根の呼吸速度との関係性を明らかにすることを目的に研究をおこなってきた。その一環として、小笠原諸島父島に自生する亜熱帯性低木数種において、野外条件下で、光合成および蒸散速度と、根の呼吸速度の連続測定をおこなったところ、葉の光合成・蒸散速度と、根の呼吸速度の両方が日中に大きく変動するものの、両者に明瞭な規則性や関係性が認められなかった。野外での測定は、刻一刻と環境条件が変化し、根の呼吸速度に影響を与える要因が複数同時に変化するため、両者の関係性を検出しにくい。そこで、実験室内で環境をより厳密に制御しながら、光合成・蒸散速度と根の呼吸速度との関係を確かめる実験をおこなった。対象としたのは、小笠原や他の亜熱帯地域にも広く自生するオオハマボウで、CO2濃度、大気湿度、温度、土壌水分を一定に保ちながら、光強度のみを変化させ、光合成速度・蒸散速度と根の呼吸速度の連続同時測定をおこなった。その結果、オオハマボウでは、光のオン・オフに伴い、光合成・蒸散速度が大きく変化し、それに伴い、根の呼吸速度もほぼ同時に同じパターンで変化を示した。詳細な解析の結果、オオハマボウでは、光合成速度よりも蒸散速度の変化と根の呼吸速度の変化が同調しており、相関係数も高かった。また、実験室内において、夜間、暗黒環境下で根の呼吸速度の連続測定をおこなったが、温度が一定であるにも関わらず、呼吸速度が大きくなる時間帯が存在することが観察された。これが何に起因するものなのか、現在のところ不明であるが、構成呼吸のようなものである可能性が考えられる。今後は、他の樹種においても、野外環境と実験室内の両方において、MEMSセンサーを用いながら、植物各部位における水移動と根の呼吸速度の関係性について明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、所属組織において学科長を担当しており、その業務が多忙を極まるため。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度には、研究協力者(学生2人)と、室内実験と野外測定の両方を進める予定であり、研究の遅れを取り戻せると考えている。また、植物の枝や茎、根などの細部に装着し水の移動速度を測定できるMEMSセンサーを使った測定も開始できる見込みである。今後はこのMEMSセンサーを用いて、蒸散速度の変動と、植物体内の水移動速度の変化、根の呼吸速度が、どのように連動して変動しているのかを明らかにしていきたい。
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