研究課題/領域番号 |
23K11407
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
大石 善隆 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (80578138)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | コケ植物 / 窒素汚染 / 温暖化 / バイオマス / 生態系機能 / 窒素 / 森林生態系 / 生存戦略 / 栄養塩類 |
研究開始時の研究の概要 |
生態系の劣化を招く主な要因の一つとして、窒素汚染が注目されている。とくに日本においては、近隣諸国から飛来する窒素を含む化合物(窒素降下物)が増加しており、窒素降下物の増大による汚染が生態系に及ぼす影響が強く懸念されている。 コケ植物は窒素降下物を吸収しやすいために、森林生態系において窒素プールとして重要な役割を果たしているとされる。その一方で、コケ植物の窒素許容量は小さく、窒素降下物量の増大はコケ植物の減少を招き、その機能の劣化につながる恐れがある。そこで、本研究ではコケ植物が窒素のプール機能を評価するとともに、窒素降下物の増加に伴ってその機能がどう変化するか明らかにする。
|
研究実績の概要 |
生態系の劣化を招く主な要因の一つとして、窒素汚染が注目されている。大気から窒素降下物を効率よく吸収するコケ植物は窒素汚染の影響を受けやすく、その一方で生態系において栄養塩類の循環などにも重要な役割を果たしている。そのため、コケの窒素汚染に対する応答は、生態系の窒素循環を理解するためのカギの一つになると期待される。そこで、窒素汚染に対するコケの応答に着目し、本年度は(1)コケの窒素汚染に対する応答の解明、(2)コケの生態系機能を評価する際に必要なバイオマスを推定するモデル(バイオマス推定モデル)の構築を行った。 まず、コケの窒素汚染に対する応答について、窒素汚染の影響に脆弱なミズゴケ湿原の主要種であるイボミズゴケを対象にして、窒素負荷量の増加に対する変化を分析した。この際、現在の気温と温暖化が進行した際の気温の2つのシナリオを設定した。その結果、温暖化と窒素負荷量の増加はイボミズゴケの生長に正の影響を及ぼすこと、ならびに、この効果は相乗的であることが明らかになった。 次にバイオマス推定モデルの構築について、ここでは、コケとともに隠花植物としてまとめられて生態系機能が評価されることが多い地衣類のバイオマス推定モデルも構築した。その結果、体積―乾燥重量の強い相関を利用することで、コケ・地衣類の体積からバイオマスを推定することに成功した。このモデルを利用すれば、現地で体積を測定するだけでバイオマスを算出することが可能となる。この成果は広域におけるコケ・地衣類のバイオマスの評価に大きく貢献するだろう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は前年度応募によって採択され、これまでに得られた結果をもとに、研究計画を再構築したものである。そのため、これまで取得した関連データなどもあり、これらのデータを利用することで研究をさらに深めることに成功した。前年度研究で得られたデータに新たな考察・データを追加し、論文として出版できたのは、その一つの成果といえる。ただ、全体として論文執筆などに遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに取得したデータを分析して論文として発表していくとともに、野外操作実験や、追加で必要となった地域の調査を進める。
|