研究課題/領域番号 |
23K11409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
和田 龍一 帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (90566803)
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研究分担者 |
松見 豊 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 名誉教授 (30209605)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 窒素循環 / 総反応性窒素酸化物 / 森林生態系 / フラックス / 窒素沈着 / 森林内部空間 / 窒素動態 / オゾン / NOy |
研究開始時の研究の概要 |
森林生態系は反応性窒素ガス(NO,NO2,NOy)の大気を通じた沈着・放出により窒素循環に重要な役割を果たす.しかし,これら微量気体のフラックス観測例は少なく,大気-森林間の反応性窒素ガスの交換に関する知見は限られている(Wada et al., 2023).本研究では渦相関法を用いたフラックス分析装置を開発し,森林におけるNOyフラックスを直接計測する.同時に濃度プロファイルを計測し,森林内のNO,NO2,NOyフラックスプロファイルを,逆解析を用いて明らかにする.窒素循環問題における森林が果たしている現状の役割を明確にし,窒素飽和等の環境問題の解決・抑止につなげる.
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研究実績の概要 |
本研究計画では,総反応性窒素酸化物(NOy)フラックス分析装置を開発し,森林樹冠上におけるNOyフラックスを明らかにする.NOyを測定することで森林に大気から乾性沈着する窒素酸化物を総量として捉えることができる.2023年度の研究では1HzでNOy濃度を測定可能な化学発光法の原理を用いた分析装置を開発した.開発した高時間分解能NOy分析装置を用いて標準試料(50 ppb)とゼロガス(0 ppb)を1分毎にバルブで切り替えて計測した.NOy濃度は0.45±0.06秒にて切り替わり,1秒以内の濃度変化をとらえていることを確認した.本装置を用いた大気計測を遠隔地森林に位置する榛名山観測所(高崎市)にて2023年9月11日~19日に9日間テスト観測を実施した.良好に高い時間分解能にて大気濃度を計測すことができ,NOy濃度の高時間分解能計測に成功した. 本研究計画では同時に一酸化窒素(NO),二酸化窒素(NO2),NOyの森林内部のフラックスプロファイルを逆解析モデルにより明らかにする.そのために森林内部空間の濃度を複数地点で計測するシステムが必要である.2023年度の研究では,複数地点の濃度が計測可能な濃度プロファイル計測システムを開発した.開発した装置を用いて2023年10月25日~26日,および2024年1月31日~2月1日に帝京科学大学(上野原市)にて実証試験を行った.1回目の検討では電磁バルブによる流路切り替え時にNOyのアーティファクトのピークが観測された.別にポンプを取り付け,測定を行わないコンバータも常時引き続けるように改良したところ,アーティファクトのピークが現れないようになった.複数地点のNO,NO2,NOy濃度の計測システムの開発に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年計画の初年度に計画していた高時間分解能NOy計測装置を開発し,テスト観測を実施した.森林内部空間測定用の複数地点のNO,NO2,NOy計測システムを開発し,テスト観測を実施した.複数地点の計測システムの開発では,当初アーティファクトのピークが出現する問題が発生したが,装置を改良することで解決した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には2023年度に開発した化学発光法の原理を用いたNOy高時間分解能装置と超音波風向風速計を用いた実証試験を富士山麓森林にて実施する. サンプルインレット用モリブデンコンバータの温度制御装置を製作し,実験室にてテスト観測を行う.その後富士山麓森林にて実証試験を行う.実証試験による観測結果の確認後,本観測を実施する.
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